●030730大阪高裁、消火器の訪問販売、事業者間のクーリングオフ
●裁判官 横田勝年、松本哲泓、末永雅之
●原審 神戸地方裁判所、平成14年(ワ)第2729号
●特定商取引法9条、特定商取引法26条
代理人弁護士による判例解説

●要旨
従前から継続的取引のある消火器点検業者であるかのように装い、事情のわからない被害会社従業員をだますようにして契約書にサインさせ、即時に消火器を搬出してしまい、契約書に基づき消火薬剤詰替費用などの名目で高額な金銭を被害会社に請求し、支払うまで消火器を返還しないとの態度をとる悪質業者に対し、搬出された消火器の返還と強制執行不奏功の場合の代償請求を求めた事案である。
 裁判所は、概略以下のとおり、被害会社が株式会社であるにもかかわらず、事業者間の訪問販売取引にもクーリング・オフの適用がある旨判断し、訪問販売により締結に至った本件消火器薬剤充填契約は書面不備のため行使期間未経過であり、クーリング・オフは有効であるとして、被害会社を勝訴させた。
 書面交付義務・クーリング・オフ等の適用除外を定める特定商取引法26条1項1号は、平成12年改正前は購入者等にとって、「商行為となるもの」を適用除外としていたが、改正によって「営業のために若しくは営業として締結するもの」を適用除外とするに至った。この改正は、購入者等にとって商行為に該当する場合でも、営業のために若しくは営業として締結するものではない契約は、適用除外としない趣旨である。
 本件取引についてみるに、被害会社は各種自動車の販売・修理等を業とする会社であって、消火器を営業の対象とする会社ではないから、消火器薬剤充填整備、点検作業等の実施契約が営業のため若しくは営業として締結されたということはできない。消防法上、被害会社の事務所等に消火器を設備することが必要とされているとしても、これは消防法の目的から要求されるものであって、これによって本件取引を営業のため若しくは営業として締結されたものということはできない。
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