●030228名古屋地裁
●裁判官 野田弘明、日下部克通、秋武郁代
控訴審(平成15年・ネ・304号)で被告側控訴棄却(平成16年3月25日)
●関係法条 民法709条,715条、旧商品取引所法94条

●要旨

被告との間で、金、白金及びパラジウムの商品先物取引を行った原告(生花栽培従事者、30代男性、先物取引・株式取引の経験なし)が、被告従業員らの、(1)勧誘段階における違法行為(適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供)、(2)取引段階における違法行為(新規委託者保護義務違反、無意味な両建、一任売買、無意味な反復売買、顧客総体に対する向かい玉)、(3)取引終了段階における違法行為(仕切拒否)により、売買損益及び委託手数料等の損失を被ったとして、被告に対し、民法709条または同法715条に基づく損害賠償の請求をした事案である。
 被告従業員らは、原告に対し、甘言とも言うべき言辞を用いて執拗に勧誘し、本件取引を開始させたことに始まり、新規委託者保護義務に違反して初心者の原告にとっては不当に多数の建玉をさせ、さらには委託者の利益を保護すべき忠実義務に違反して原告を誘導し、手数料稼ぎを目的として無意味な売買を繰り返したと認められるので(さらに言えば、本件取引全体を見ても、前記認定のとおり、原告の発意でなされた取引はほとんどなく、ほぼすべてが被告従業員らの勧めに従い、原告がこれを受け入れる形で行われたものであり、4か月強の取引期間に累計1975枚が建てられ、その約定金額の累計は18億円余にも達しており、被告従業員らの取引勧誘は初心者に対するそれとしてはやりすぎであるとの感を免れない。)、本件取引の勧誘から終了に至る全体について、被告従業員らによる不法行為があったと認められ、これらの行為は被告の事業の執行につきなされたものであるから、被告は、民法715条に基づく使用者責任を負う。
 なお、原告の過失割合4割認定。

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