●040714大阪地裁
●裁判官 宮武康
●民法709条、715条

●要旨

被告会社が社外秘として顧客に示すことを予定していなかった「アルゼンチン共和国について」と題する14頁の書面(恐らく、営業社員が勧誘する際のトークのための資料)を,原告へ,ファックス送信した。これにはアルゼンチン国の現状についての説明,表,グラフ等が記載されていた。
文中の「安定した直接投資,証券投資を保証する」との表現は,外国債の購入を勧誘する文書の表現としては,顧客の判断を誤らせる可能性があり,相当性を欠くものである。

文中の「改革が進む中南米のヨーロッパ」「先進国並みの社会構造」「経済は回復基調へ」「沈静化するインフレ・安定化する金融市場」「国際投資家による高い評価」「改善が見込まれる格付け」との表題は,アルゼンチン国の政治,経済,金融等が健全であることを強調する表現といえ,外国債の購入を勧誘するにつき,その国の欠点等を捨象した,抽象的かつ肯定的な評価をする表現を多数使用すること,あるいは,そのような表現が,他の文字に比し,目立つ形で使用される場合は,より一層,顧客の判断を誤らせる可能性があり,相当性を欠くものといえる。

被告の営業社員が,顧客である原告にファックス送信したことは,証券会社の営業担当者としての勧誘行為として許される限度を超えた違法なものであるといわざるを得ず,原告が,本件アルゼンチン国債を購入したこととは,因果関係が認められる。として、原告の購入代金(1000万円)全額を損害と認め,他方,原告は,証券取引につき,一般的な顧客以上の,相当な知識と経験を有しており,債券の格付の意味も当然理解していたことが認められる。として7割の過失相殺とした。

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