●041007_大阪簡裁
大阪簡裁、平成16年(ハ)第2169号リース料請求事件(平成16年10月7日言渡、確定)

裁判官 原司 関連判決 040625、神戸簡裁h16・ハ・335
リース契約と消費者契約法4条1項1号による取消

●担当弁護士によるコメント

【事案の概要】◎ 販売会社従業員が被告(ユーザー)に「光ファイバー」敷設の勧誘をした当時、被告の家族の間では高速大容量の「光ファイバー」を敷設することを検討していたことから、被告は販売会社従業員の訪問販売をきっかけに販売会社従業員の説明を聞くこととなった。 ◎ ところが、販売会社従業員は被告に対し、「光ファイバー」敷設と電話機は全く関係がないにもかかわらず、「光ファイバー」を敷設すると被告が従前使用していた「アナログ電話」が使用できなくなり、「光ファイバー」に対応している「デジタル電話」は「FXU」しかないとの虚偽の説明をした。そのため、被告は、原告の取扱店の従業員販売会社従業員の説明によれば、いずれ「光ファイバー」を敷設する際には、その当時使用していた「アナログ電話」が使えなくなるので、販売会社従業員の説明する「デジタル電話」である「FXU」に買い換えることにし、リース会社と100万円以上もする電話機のリース契約を締結することとなった。ところが、後日、被告が虚偽説明に気づいたため、リース契約を消費者契約法4条に基づき取り消し支払いを拒絶したところ、リース会社がリース料の支払いを求めて訴訟を提起したものである。なお、被告は既に事業を廃止していたにもかかわらず、販売業者従業員は被告に対し個人事業者としてリース契約書に記入するよう指示していた。

【裁判所の判断の概要】◎ 大阪簡易裁判所は、(1) 販売業者従業員が被告に対し、リース契約書に「個人事業者欄への記載」を勧め、被告がそれに従ったこと (2) リース契約申し込みの勧誘から契約書、リース物件借受証の作成・授受、契約内容の説明などは全て販売業者が行っていてリース会社と被告とが直接交渉をしたことがないこと(販売業者とリース会社との一体性の認定・業務提携関係) (3) 本件リース契約は事業者であるリース会社(原告)と消費者である被告との間での消費者契約であること (4) 商品の価格が著しく高額であることや被告や被告側証言の信用性を肯定したこと等から、 販売業者従業員の上記不実説明を認定して消費者契約法4条1項1号により本件リース契約の申し込みの意思表示の取り消しを認めたものである。

【本判決の意義】◎ リース契約の形式を取ると、販売業者と消費者の契約とリース会社と消費者とのリース契約が形式上別個になるため、販売業者に不実説明があった場合、消費者はリース会社からのリース代金を拒むのが困難と思われていたところ、本判決のように販売業者とリース会社との一体性を肯定することにより、リース会社が消費者契約法上の「事業者」となり、消費者は消費者契約法に基づいてその意思表示を取り消すことができ、消費者救済の途が拡がったと考えられる。

右クリックで判決PDFの表示か保存を選択 207KB)

 

検索結果一覧へ戻る
検索システムTOPへ戻る

アクロバットリーダーダウンロードはこちら
PDFファイルをご覧いただくには、
Adobe Acrobat Reade

もしくはAdobe Readerが必要になります。
お持ちでない方は、アイコンをクリックして
ダウンロードしてください。

 


※要旨は、検索の便宜のためのもので、内容に責任は持ちません。
著作権は兵庫県弁護士会にありますが、引用やコピーは自由です。