●051111 東京地裁 外国為替証拠金取引
●東京地裁平成17年(ワ)第3714号 損害賠償請求事件(平成17年11月11日言渡)
●裁判官 藤山雅行 大須賀綾子 筈井卓矢(34部)  ●代理人 國吉、荒井ほか

●要旨

統合失調症にある被害者から独立系業者が外国為替証拠金取引を行うとして金銭を交付させた事例。
◎ 外国為替証拠金取引は賭博で公序良俗違反 外国為替証拠金取引は「為替レートの変動という当事者が関与せず、しかも予見し得ない事情によって、損益金の金額が決定されるものであるから、賭博の構成要件に該当するものであり、このような取引形態は、公に認められた取引所を通じて行うもの以外は原則として公序良俗に反する違法な行為といわざるを得ない」
◎ 法令による正当行為には該当しない 金融先物取引法の一部を改正する法律は「登録された業者による外国為替証拠金取引について定めるものにすぎず、本件取引を正当化するものではない。」「同法(金先法)の改正前には、外国為替証拠金取引は違法行為として想定され、いかなる業者も行えなかったことを示すものである」
◎ 個別的な正当化事由も無し 現金1000万円の証拠金のうち700万円は貸金業者から借り入れた資金であり、原告の申告した年収及び資産の合計の2倍を超える出捐を行ってまで外国為替レートの変動によるリスクを回避(ヘッジ)する合理的必要性があるとは考えられない。本件取引におけるレバレッジは約16倍だが、これは個人によるヘッジ目的に適したレバレッジであるとはいえない。加えて、原告は本件取引を行った時点において既に統合失調症の慢性期にあり、本件取引の仕組みを理解し得る能力を有していたものとは認められない。被告の従業員はそのことを認識していたか、認識し得た。このような状態にある原告との間で本件取引を行うことは、勧誘行為も含め、社会的に相当でない行為であるといわざるを得ない。

◎ 従って、意思無能力や詐欺の主張について検討するまでもなく、本件取引は賭博行為として公序良俗に反する違法行為であると認められるとして、過失相殺をせずに請求を全額認容した。
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