●070202 盛岡地裁
●盛岡地裁 平成16年(ワ)第157号、同第201号 立替金請求事件
 (平成19年2月2日言渡)
●裁判官 榎戸道也、山門優、須田雄一(2部) 
●代理人 川上ほか

●要旨

◎ 被告らは,株式会社Aの製造販売に係る健康寝具を有限会社■商事(以下■商事」という。)を介して購入し,その購入代金の支払につき,原告との間で立替払契約を締結した。
◎ 被告らは,Aのビジネス会員から,「モニター料でクレジットの返済を賄えるので,布団がタダでもらえる。」などと勧誘され,本件売買契約及び本件モニター契約を締結した。
◎ 本件モニター商法は,これを継続してもAにおいて利益を留保できる余地はなく,必然的にモニター料の支払ができなくなり,Aの財務破綻を招くとともに,モニター料の支払を期待し高額な代金を支払って本件寝具を購入した多くのモニター会員に被害を被らせるという構造的欠陥を有するものであったと認められる。
◎ さらに,Aは,本件モニター商法に,連鎖販売取引と認められるビジネス会員制度を組み合わせることによって,加速度的にモニター会員及びモニター料の支払を増大させており,破綻必至の構造を備えていたことは明らかである。
◎ 本件モニター商法は,早晩破綻することが明らかな詐欺的商法であり,自由取引の枠組みを超える反社会的なものとして公序良俗(民法90条)に反するというべきである。
◎ 本件売買契約と本件モニター契約は,その勧誘から契約締結に至るまで一体的に行われたものであり,どちらか一方だけでは事実上成立し得ない,不可分一体のものであったと解するのが相当であり,公序良俗違反により全部無効となるというべきである。
◎ 本件売買契約が公序良俗に反し無効であるとの抗弁は,割賦販売法30条の4第1項の要件を満たすから,原告の割賦金請求に対し,支払停止の抗弁を主張できるのが原則である。
◎ 被告らが原告に対して上記抗弁を主張することが信義則に反すると認められるような特段の事情があるというためには,被告らに何らかの不注意があるというだけでは足りず,本件モニター商法が公序良俗に反し無効であることを知りながら,不正に利益を得る目的で信販会社である原告と間で立替払契約を締結したなどの背信的事情がなくてはならないと解すべきであるが、そのような事情があったとは認められない。

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