●070425 大阪地裁 商品先物取引
●大阪地裁 平成17年(ワ)第9958号 損害賠償請求事件(平成19年4月25日言渡)
●裁判官 平林慶一、飯島暁、奥野寿則(8部)
●代理人 三木ほか

●要旨

◎ 本件は,被告を通じて商品先物取引を行った原告が,被告の従業員による不適格者に対する勧誘,説明義務違反,断定的判断の提供,新規委託者保護義務違反,両建勧誘,仕切拒否,一任売買及び過当取引の違法行為があったとして,債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づき,被告に対し,実損額及び弁護士費用の賠償並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
◎ 原告(昭和31年生)は,昭和57年に■大学を卒業後、医師免許を取得し,その後,勤務し、平成元年に眼科医院を設立し,経営している者である。取引当時,少なくとも2400万円の年収があった。本件取引を通じて委託した約1億2000万円の証拠金のほとんどは自己資金であった。
◎ 取引のきっかけは,平成15年3月12日,金地金の勧誘による購入であった。引き続き商品先物取引の勧誘を行い、同月14日,原告は被告に3000万円を預託し,東工金2月限500枚の買い建て注文をした。
◎ 適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供、違法な両建の勧誘、事実上の一任売買、過当取引、仕切拒否についての主張は退けられた。
◎ 新規委託者保護義務違反が認められ、したがって,被告は,被告を介して商品先物取引を行った原告に対し,不法行為(使用者責任)による損害賠償責任を負うものと認めるのが相当である。
本件取引開始後1か月以内に行われた東工金の建玉は合計1615枚に上り(なお,本件取引開始後1か月の時点での保有建玉も同枚数である。),これらの建玉を行うため,同期間内に原告が被告に委託した証拠金は合計9695万7000円に上ることが認められる。また,前記認定事実によれば,本件取引開始後3か月以内に行われた東工金の建玉は合計3430枚に上り(なお,本件取引開始後3か月の時点での保有建玉は合計1790枚である。),これらの建玉を行うため,同期間内に原告が被告に委託した証拠金は合計1億1995万7000円に上ることが認められる。
そして,前記認定のとおり,上記建玉は,すべて,○○らの勧誘・提案により行われたのである。原告は,商品先物取引の経験がなかったにもかかわらず,○○の勧誘により,本件取引開始後短期間の間に大量の取引を行ったのであって,その際,被告は,被告管理規則実施基準に違背していたのであるから,原告が商品先物取引を行うのに十分な資産を保有していたことを考慮してもなお,本件取引は新規委託者保護義務に著しく反した違法なものというべきである。
◎ 過失相殺5割

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