●070705 松山地裁西条支部 ヤミ金・年金担保貸付
●松山地裁西条支部 平成18年(ワ)第237号 損害賠償請求事件(平成19年7月5日言渡)
●裁判官 末吉幹和
●代理人 菅

●担当弁護士のコメント

◎地場のヤミ金(無登録,年利60パーセント高金利,違法な年金担保融資)に対する全額説判決
◎争点としては,主に,次の2点
(1)  年金担保として,通帳,キャッシュカード,年金証書を受領することが不法行為か。また,その損害額。
(2)  年金からの支払額全額が損害としても,ヤミ金融が貸し付けた金員を控除(損益相殺または貸金債権との相殺)すべきか。
◎ 不法行為について,「国民年金法24条及び厚生年金保険法41条は,給付を受ける権利ないし保険給付を受ける権利について担保に供することができないと規定しているところ,これは,年金受給者の生活を保護しようとする趣旨であるから,貸付に際し年金を担保とする行為は,これらの規定に違反する違法な行為であるといわざるを得ない。」とした。
◎ 損害については,原告が被告に対して返済した全額,不法行為時からの遅延損害金,慰謝料,弁護士費用を認容。
◎ 貸付金相当額の損益相殺については,「本件各貸付は,公序良俗に違反し,被告は給付した物の返還を請求することができないこと(民法708条)に照らすと,原告の被告に対する損害賠償請求に際し,本件各貸付分(合計170万円)を控除することは,当事者間の公平を図ろうとした損益相殺の趣旨に反するといえる。」とした。
◎ 貸金債権との相殺についても,「本件各貸付によって原告に給付したものの返還を請求することができないのであるから,原告に対する自動債権が存在しているとはいえないし、仮に,自動債権が存在しているとしても,原告の被告に対する損害賠償請求権(受動債権)は,被告の不法行為によって生じたものであるから,上記債権をもって相殺することはできない(民法509条)。」とした。

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