【事案】
◎ 中小企業の社長。2005年11月から、○商事外務員による執拗な勧誘(金の買玉)を受ける。当初断っていたが、その後も、金価格が上昇するのを見て、また「買えば官軍、売れば賊軍」「買ったもの勝ち」などという勧誘FAXが送付されてきたので、ついに決心して、2005.12.12に、1500万円送金し、いきなり200枚を建てる。しかし、翌13日から暴落(4日連続でストップ安という歴史的暴落)。被害者は、13日に決済を希望するも決済できず、翌14日決済した。 証拠金1500万円は全損。+差損金1600万円発生。
【判決】
◎ 消費者契約法4条2項(不利益事実の不告知)による取消を認め、1500万円の返還請求認容。また、1600万円の差損金請求は棄却。
◎ 理由 (1) 先物取引において、当該商品の「将来における価格の上下」は、「目的となるものの質」に該当(4条4項1号該当)。
(2) かつ、「契約締結の判断に通常影響を及ぼすもの」にあたる(4条2項該当)。
(3) 「相場が上昇するとの自己判断を告げて買注文をすすめること」=「利益となる旨を告げること」に該当
(4) 「暴落の可能性を示す事実」=「不利益となる事実」に該当※(3)により、(4)は通常存在しないと考えるものにも該当。
(5) 故意については、事実認識で足りる(だます故意は不要) = 日弁連消費者委員会見解を採用。
◎ 判断の中核となるのは、(4)の中身です。いろいろありますが、
ア)ロコロンドンとの価格乖離(東京市場の独歩高)、
イ)12月9日の臨時市場管理委員会の内容・記者発表、
ウ)歴史的に例のない異常な取組高(他方で、TOCOMで実際に現受される取引は極めて少ないという一般的な事実)、
エ)買ポジションの99%が一般委託者で、プロは売りポジションばかり、といった点が中心です。
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