◎　タクシー運転手が、無登録で、他の複数のタクシー運転手に、年利１３０％〜８４．４９％の約定で、貸付を繰り返していた事案について、公序良俗違反による無効を認め、ヤミ金の貸付元金の返還請求を認めず、借主の既払金の返還請求については、返済があったと認定した金額（１００万円）全額について返還請求を認めた。
◎　１審判決は、消費貸借契約は、元金部分については、公序良俗に反するとまでは言えないとして、ヤミ金の借主に対する元金の返還請求を認容した。
◎　本判決（大阪高裁）は、年利８４．４９％の貸付も含め、全ての消費貸借契約について　
(1) 出資法５条２項で刑事罰の対象とされる年２９．２％をはるかに超えている。
(2) 貸金業の登録をしていないので、貸金業法１１条１項にも違反している。　
(3) 借用証書や領収証を借主に交付していないことは証拠を残さないための方策と窺われる。
(4) サラ金から借入をしてまで貸付をしている。　
(5) 使途に特に意を払うことなく、短期間のうちに借主に連続して貸付をなしている。これらの事情から、本件各貸付は借主の無思慮に乗じて暴利を得る目的で行われたと認定できるという理由で、本件消費貸借契約は、利息契約の部分にとどまらず、消費貸借契約自体が公序良俗に反し、無効と判断した。
◎　そして、借主の既払金の返還請求については、　
(1) ヤミ金が借主に交付した金員は、ヤミ金の返還請求が認められない反射的効果として、借主が確定的に取得することになるので、借主の弁済による損失を補填する利得と観念することは出来ない。　
(2) 実際上も、このように解さなければ、弁済をした債務者と弁済をしていない債務者との間で均衡を失することになるし（債務者は支払をしてしまうと救済されない、逆に言うと、ヤミ金は取立をしてしまえば救済される）、悪質な貸金業者による激しい取立を誘発しかねない。という理由で、全額認容した。