◎ 本件は、原告が、貸金業者である被告らに対し、過払金及び過払利息の支払を求めた事案である。
◎ 被告Aは、取引途中において原告が分割返済金の支払を怠り期限の利益を喪失したとして、同日意向の取引について遅延損害金利率での引き直し計算がなされるべきであると主張し、これに対し、原告は、各返済期日において支払うべき約定元本額及び制限利率による利息額の支払があったと評価されるべき旨を主張するとともに、被告Aは期限の利益の再度付与をしていた旨を主張した。
同争点につき、裁判所は、原告による分割返済金の支払の怠りを認定しつつも、通常利率と遅延損害金の利率の異動や、延滞状態となった直後の各取引日以降において通常利率による計算がされていること、被告Aが通常利率による一括返済案を原告に示していたこと認定した上で、被告Aが原告に対し残元本と遅延損害金の一括弁済を求めたり、期限の利益喪失を明らかにする書面を交付し、原告から受領した利息等を遅延損害金の内金として受領したことを明細書等により示したことのいずれについても、これらを窺わせる事情が証拠上見あたらないことを考慮して、各延滞の度に被告Aが再度期限の利益を付与したことを認定し、原告の請求を全部認容している。
(被告Aは控訴せず確定)
◎ また、原告は、被告Nとの取引に関し、開示のあった取引履歴以前の取引につき推計計算の上で請求をしたところ、被告Nは推計計算を争い、取引履歴の冒頭金額により過払金等を計算すべき旨を主張した。
同争点につき、裁判所は、取引履歴の冒頭の日付が空欄とされ残元金が端数のある数字となっていることから同日以前の取引の存在を推認した上、原告の推計計算開始時期において、原告に資金需要があり、リボルビング払いによるカードローン可能な契約締結があったことから、同時期からの取引開始を推認し、原告の推計計算を肯定して被告の主張を排斥し、同取引に関する原告の請求を認容している。
(なお、被告Nは控訴後、同被告から閏年等の修正をした推計計算書を提出し、同計算書に基づく金額全額を支払う旨の和解が控訴審において成立した。)。 |