●180523 東京高裁 フランチャイズ契約
●東京高裁平成30年(ネ)第172号 損害賠償請求控訴事件(平成30年5月23日言渡)
●裁判官 野山宏、吉田彩、角井俊文(11民事部)  
●代理人 中村 他
●原審 神戸地方裁判所 平成27年(ワ)第25799号

●要旨

◎ 全国にフランチャイズ展開をする本部(フランチャイザー)の加盟希望者(フランチャイジーになろうとする者)に対する勧誘時の説明内容が詐欺にあたるとして,本部及びその代表取締役に対し,共同不法行為に基づき,加盟希望者が契約締結に際し支払った加盟金,システム利用料,弁護士費用相当額の損害賠償を認めた事案。

◎ 原審における争点は,本部に情報提供義務違反があったか(不合理な売上高告知,営業不振による閉鎖店舗の存在に関する不告知),過失相殺の有無だった。他方,控訴審においては,被告らによる原告らの勧誘行為が詐欺にあたるか否かが主な争点だった。

◎ 原審は,原告らが契約締結時に相当程度の社会人経験を有していたこと,契約締結前に被告らと面談の機会があったことからすれば,被告らの情報の正確性や合理性の検討,吟味が可能であったこと,原告らが短期間で見切りをつけて事業を終えてしまったこと等から5割の過失相殺を認めた。対して,控訴審では,被告らの原告らに対する勧誘行為が,受託詐欺ないし募集詐欺というべき詐欺行為を故意に実行したものといえ,加盟金等を詐取したものにあたるとした。続けて,故意による不法行為であって犯罪成立の可能性すらあるものによる被害について,過失相殺をすることは,極力避けるべきであるとして,本件では被害者らである原告らの損害額を減額することは,ひいては故意に違法な手段で取得した利得を許容する結果になって相当ではなく,過失相殺が当事者間の公平を図るため,損害賠償の額を定めるにあたって被害者の過失を考慮する制度であるとした趣旨に反するとして認めなかった。

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