くらしの法律相談

1997年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

<<1997年掲載一覧へ戻る

「遺言残さず父親が急逝−貢献に応じ特別寄与分も」神戸新聞 1997年5月15日掲載

執筆者:恒川 洋美弁護士

遺産相続をめぐる争いか増えています。神戸弁護士会では「遺言」の作成を広く勧めていますが、今回は、父親が遺言を残さず急逝し、少し面倒なことになった男性の相談です。

弁護士:そうですか。遺言がない場合、相続人の相続分は民法で定められています。これを法定相続分といいます。ご兄弟四人ですと、一人四分の一ずつということになりますね。

相談者:四分の一ずつですか‥。実は、私は高校卒業以来、父を助けて農業一筋にやってきました。自分で言うのもなんですが、そのおかげで父は苦しいときも農地を手放さずにすんだばかリか、農地を増やしてもいるのです。それに、弟たちのことを悪く言うつもりはありませんが、弟たちは農業を嫌がって都会でサラリーマンをやってきたのです。ですから、四分の一ずつと言われても、何だか割り切れない気持ちがするのですが。

弁護士:おっしゃる通り、お父さんが財産を維持したり、増やせたりしたのが、あなたのように特別の貢献をした人がいたからだという場合、単純に法定相統分どおりに遺産分けしたのでは不公平です。そこで、民法は特別の貢献(寄与)をした相続人が、法定相続分を超えて遺産を分けてもらえるように「寄与分」というものを認めているのです。

相談者:なるほど。弟たちも「兄貴は親父の農業をよく手伝っている」と認めてくれていますので、一度、兄弟みんなで話し合いをしたいと思います。でも、うまく話がまとまらないとどうなるのでしょう。

弁護士:その場合には、家庭裁判所に対して寄与分を決めてくれるように申し立てることになります。どのような場合もおっくうからず、弁護士に相談に来てください。