くらしの法律相談

1997年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「パート勤労者の待遇は−法はふさわしい条件推奨」神戸新聞 1997年10月2日掲載

執筆者:福元 隆久弁護士

パートで働いている場合には、賃金面などで不満に思っていても、表に出すことは難しいようです。今回はそんな相談です。

相談者:スーパーのパートタイマーとして働いているのですが、賃金が社員の人たちに比べて安すぎるんです。こんなこと許されるんですか。

弁護士:難しいですね。労働基準法では、例えば、女子というだけで男子と賃金に差をもうけることは許されないんだけど、パートと社員とで賃金に差をもうけることまで禁止していないんだ。だから、許されるということになります。

相談者:でも、私と社員のAさんは同じ内容の仕事をしているのに、賃金が違うのは納得できません。

弁護士:そうですね。そういった不合理感があることを考慮して、一九九三年に成立した、いわゆる短時間労働者法は、所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じで、なおかつ同じ内容の仕事をしている労働者に対しては、通常の労働者として、ふさわしい処遇をすることを企業に推奨してます。

相談者:推奨だけですか。理想と現実は違うんですね。それでは、有給休暇の関係はどうなるんですか。バー卜だともらえないんですか。

弁護士:有給休暇はパートでももらえますよ。所定労働日数が週四日ないし年二百十六日を超える人か、所定労働時間が週三十五時間以上の人は、通常の労働者と同じ日数、これ以下の人は所定労働日数との比例で休暇日数がもらえます。

相談者:私は週に三日、朝の十時から夕方五時までパー卜に出ているんですが、どうなるんですか。

弁護士:パートに出てどれくらいになるんですか。

相談者:それがまだ一週間なんですけど…。

弁護士:えっ、まだ一週間しか働いてないんですか。それじゃまだ有給休暇はもらえません。フルタイムで出ている人だと六カ月後に年七日、六カ月後からこ年ごとに一日増えて、十四日までもらえる。あなたの場合だと、六カ月後に年五日、六カ月後から二年ごとに一日増えて十日までもらえることになります。いずれにしても、パートタイム労働について考えるときは、自分のライフスタイルに合わせて、空いた時間を有効利用できる雇用形態だという側面も忘れてはいけませんね。

相談者:あっ、もうこんな時間。早く家に帰って夕ご飯の支度をしなくちゃ。

弁護士:今日は暇な時間を有効利用できましたか。

[訂正]
本原稿の執筆後、労働基準法施行規則の改正もあり、(有給休暇が通常の労働者と同数になる)所定労働時間は週三十時間以上、週三日の短時間労働者の有給休暇は六カ月後からおおむね二年ごとに増え最長十一日まで、フルタイム労働者(所定労働時間週三十時間以上)の有給休暇は十日から二十日までーとなっています。(神戸新聞平成97年10月4日付掲載の訂正記事より)