くらしの法律相談

1998年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「震災遺族間の相続権は… 死亡時間の差で違いも」神戸新聞 1998年3月5日掲載

執筆者:工藤 涼二弁護士

震災から三年が過ぎましたが、親族同士で相続関係が問題になることもあったようです。今回は、自分の夫と義母を亡くしたケースでの相談です。

相談者:私の友人なんですが、三年前の震災でご主人とそのお母さんが亡くなった方がいるんですよ。

弁護士:それは本当にお気の毒でしたね。

相談者:まだ小さいお子さんが二人もいるのに、ご主人のお兄さんとの間で、相続関係で少しもめているらしいんですが、そんな場合はどうなるんでしょうか。

弁護士:それは、どちらが先に亡くなったかで決まります。もし、お母さんが先に亡くなったのであれば、まずお母さんの財産について、ご主人とお兄さんが二分の一ずつ相続します。
そして次に、お母さんからの相続財産も含めた、ご主人の財産の二分の一を奥さんが、お子さんが四分の一ずつを相続することになります。

相談者:なるほど。では、逆の場合はどうなりますか。

弁護士:それは、まず先に亡くなったご主人の財産について奥さんが二分の一を、子どもさんがそれぞれ四分の一を相続して、お母さんには行きません。
そして次にお母さんの財産について相続が開始しますが、本来二分の一を相続するはずのご主人が先に亡くなっていますので、ご主人の子どもさんが代わって相続人となり、それぞれ四分の一を相続します。これを代襲相続といいます。

相談者:でも先生、お二人とも倒れた家の下敷きになったのでどちらが先に亡くなったのか、よく分からないのですか。

弁護士:そういう場合は同時に亡くなったと推定され、原則として互いの財産の相続はありません。
ただし、同時死亡の場合でも代襲相続は認められますから、ご主人の子どもさんは亡くなったお母さんの財産の四分の一ずつを相続できます。友人の方はご主人の財産の二分の一のみを相続することになりますね。

相談者:分かりました。友人によく説明しておきます。

弁護士:ただ、遺言書が作成されていると、この相続分は変わってくる可能性もあります。ですから、何かありましたら気軽に弁護士に相談するようお伝えください。