くらしの法律相談

1998年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「相続の遺留分放棄は−申し立てと家裁許可必要」神戸新聞 1998年6月5日掲載

執筆者:中山 知行弁護士

相続で、実子などが必ず受け取ることになっている「遺留分」。 今回は、家庭の事情によって放棄させたい場合の相談です。

相談者:うちのひとり息子もおかげさまでやっと年貢の納め時になりました。

弁護士:そうですか、それはおめでとう。

相談者:ところで息子も片付いたので、遺言書でも書こうと思っているんですが。

弁護士:ほう、どんな内容で。

相談者:実は、若いころ不倫の恋でできた娘がもう一人いて、認知してないんだけど、こっちにも財産を残してやりたいんです。

弁護士:息子の方は不倫の子がいることを知っているのかな。

相談者:それが長い間秘密にしてきたんで、今さら打ち明けられず、言ってません。

弁護士:ところで遺言を書くほどの財産はあるのですか。

相談者:最近商売が順調で、自宅の土地建物以外に、マンションと預金がいくらかあります。

弁護士:息子の方には遺産をやらないつもり?

相談者:妻が死んでからあいつにはさんざん金を使わされてきたから、できれば苦労をかけた娘の方に全部相続させたいんです。

弁護士:でも息子さんにも遺留分がありますよ。

相談者:その遺留分をなんとかする事はできないんでしょうか。

弁護士:相続開始前の遺留分の放棄もできないことはない。本人の申立と家庭裁判所の許可が必要ですが。

相談者:つまり、息子自身が家裁に遺留分をあらかじめ放棄したいという申立をして、家裁から許可をもらわないといけないんですね。

弁護士:そうです。

相談者:仕方ない。息子に腹違いの妹がいることを話します。