くらしの法律相談

1998年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「相続人のいない財産は−特別縁故者にも権利」神戸新聞 1998年7月3日掲載

執筆者:西田 嘉晴弁護士

結婚しない人や子どもを持たない夫婦が増えています。財産はあるが相続人がいないという場合、残った財産はどうなるのでしょうか。

相談者:先日、隣のお兼さんという八十歳のおばあさんが亡くなったんです。ご主人には早くに死に別れて子どももおらず、天涯孤独の身だった人で。

弁護士:遺産は?

相談者:それでもめてるんです。一人暮らしだったのでうちの嫁さんが世話していて入院中も付き添いまでしていたけど、その間親類はだれも来ない。仕方ないので近所の人と相談して葬式を出したら、お兼さんのいとこという女の人が来て、この家はだれの名義かと聞いてきたんです。

弁護士:葬式はあなたの奥さんが出したの?

相談者:はい。お兼さんの財産はいとことかいう人にいくんですか。

弁護士:遺言書はなかったのかな。

相談者:家の中を探したけど出てこなかったらしいんです。

弁護士:そうすると相続人不在ということになる。家庭裁判所へ相続財産管理人というのを選任しなければいけませんよ。

相談者:お兼さんの財産はどうなるんですか。

弁護士:相続人がいない場合、最終的には国庫に帰属します。でも、その前に特別縁故者といって裁判所の判断で、申し出により遺産を分与してもらう制度があります。

相談者:例えばだれが申し出るんですか。

弁護士:一緒に暮らしていた実質上の夫婦や養子で籍のはいっていない人たちなどです。

相談者:その他は。

弁護士:療養看護していた人も入る。だからあなたも家裁に申し立ててごらん。お兼さんを長い間、面倒みてあげたんだから。

相談者:それならうちの嫁さんが世話した分はもらえますか。

弁護士:世話した分はもちろん、特別縁故者としてもらえるかもしれませんよ。