くらしの法律相談

1998年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「道路位置指定とは−私道でも家は建てられず」神戸新聞 1998年9月18日掲載

執筆者:吉田 保之弁護士

バブルが崩壊した現在も土地は貴重なもの。わずかなスペースも有効に利用したいものです。今回は家の増築を考えている人からの相談です。

相談者:土地付きの中古住宅を十年ぐらい前に購入したのですが、敷地の一部が私道になっています。業者の語では、この私道は道路位置指定を受けているらしいのです。子どもも大きくなり、家も手狭になってきたのでこの際、私道の上に家を増築したいのですが、可能でしょうか。

弁護士:建築基準法によると、都市計画区域内に建物を建てる場合、敷地は原則として幅四b以上の「道路」に間口が二b以上接していなければなりません。これは人の出入りや防災活動を容易にするためのもので、接道義務といいます。この要件を満たしていないと建築確認が下りず、家を建てることはできなくなります。

相談者:確か、ここは都市計画区域だったな。あれっ、私の敷地は一部が私道になっているだけで道路には接していませんよ。私の家は違法建築なんですか。

弁護士:あわてないで。私道も申請に基づいて都道府県知事または市町村長から道路位置指定を受ければ接道義務の要件となる「道路」と認められます。見たところ、あなたの敷地は接道義務は満たしているようです。

相談者:安心しました。でも、道路位置指定を受けても私道は自由に使ってよいのですか。

弁護士:もちろん私道を通ることは自由です。ただし、道路位置指定を受けると自分の土地といっても私道の上に建物を建てたり、私道の位置を勝手に変えたりできなくなります。公道に準じた扱いになるわけです。「私道負担」という言葉を耳にしますが、敷地の中に今話したような道路位置指定を受けた私道があることをいうのです。

相談者:結局私は私道の上に増築することはできないということですね。

弁護士:そうなります。

相談者:私の土地なのに自由に使えないなんて不合理な法律だなあ。

弁護士:まあ、そう言わないで。その代わり、道路位置指定を受けた私道部分は固定資産税などはかからないことになっています。