くらしの法律相談

1999年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

<<1999年掲載一覧へ戻る

「離婚後行方不明の夫の財産 裁判で名義移転も可能」神戸新聞 1999年3月19日掲載

執筆者:幸寺 覚弁護士

離婚後、元配偶者の居場所が確認できなくなった場合、財産処分はどのようにすればよいでしょうか。

相談者:私は三年前、協議離婚しましたが、夫の居場所が分かりません。夫名義の土地と建物が残っているんですが、私名義にできないでしょうか。

弁護士:あなたの場合、すでに離婚してから二年が経過しているので、離婚による財産分与請求はできませんね。

相談者:離婚の直前に主人は私に土地・建物の権利証と実印を渡して、離婚したら私名義にしてもよいと言ったのですが。

弁護士:それなら、離婚の際に財産分与としてご主人名義の土地・建物をあなたに譲渡するという合意が成立していたと考えられますから、二年経過した後でもご主人に対して土地・建物名義を移転せよという裁判ができます。

相談者:でも、主人は現在、行方不明なんですが。

弁護士:裁判をするには、訴状などをあらかじめご主人に届けておかねばなりません(送達)。でも、ご主人が行方不明で届けることができない場合、あなたかせご主人のいそうな場所を捜したり、会社の元同僚などに聞いたけれども居場所が分からないという事情を裁判所へ報告すれば、裁判所は掲示板にご主人に対して裁判になっていることを掲示します(公示送達)。その後、一定期間経過することによって、法的に訴状などがご主人に届けられたことになり、裁判を始められます。

相談者:裁判ではどういうことをするのですか。

弁護士:あなた方の事情を知っている人に証人として裁判所へ出て来てもらい、証人尋問した上で裁判官に判決を言い渡してもらうことになります。

相談者:私に勝ち目はあるでしょうか。

弁護士:あなたの場合、現に土地・建物の権利証と実印を持っており、また、あなたとご主人が話し合われた場所にあなたのお兄さんとご主人のお姉さんが立ち会っていたということですので、その人たちに証人になってもらうこともできます。裁判をすれば、土地・建物の名義をあなたに移転させることはできますよ。