くらしの法律相談

1999年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「物損の被害にあった新車 買い換えの請求は無理」神戸新聞 1999年5月21日掲載

執筆者:工藤 涼二弁護士

購入して1週間の新車をぶつけられて損害を負った場合、相手方に新車に買い替えてもらえるのでしょうか。

相談者:買ってまだ1週間、300キロメートルも走っていなかった新車をぶつけられたんです。

弁護士:修理にはどのくらいかかりましたか。

相談者:ドアの取り換えや板金、塗装処理などで15万円ほどです。

弁護士:相手は対物保険に入っていたんですか。

相談者:それが強制保険だけで任意保険はこれから手続きをするところだったらしいんですよ。

弁護士:あなたは車両保険には入っていたんでしょうね。

相談者:ええ、修理代金はほぼ保険から出たんですけど、気分が悪くて。気のせいか風切り音が高くなったようですし、塗装した部分の色が微妙に違って見えるんです。

弁護士:実物を見ていないので何とも言えませんが、今の塗装技術は進んでいますから大丈夫では。

相談者:こつこつ頭金をためてやっと買った車なんです。相手に新車を買い替えてもらうことはできないんでしょうか。

弁護士:お気持ちはよく分かりますが、結論からいうと無理でしょうね。

相談者:じゃあ、相手はまったく負担しないわけですか。

弁護士:そんなことはありません。保険会社から修理代金相当額の支払いを請求されますよ。

相談者:それ以上は請求できないんでしょうか。

弁護士:人身事故でなくても、大切にしていた物の損害について慰謝料を認めた判例もありますが、あなたの場合にあてはまるかどうか疑問ですね。

相談者:ほかに考えられるものはありませんか。

弁護士:まず修理中の代車料は認められるでしょう。事故によって保険料の割引がなくなった場合にそれを損害と認めた判例もあります。いわゆる「評価損」「格落ち」といったものが認められるケースもあります。修理代金の30〜10%の範囲内で認められることが多いようです。