くらしの法律相談

2000年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「新しい借地権 必ず土地が返ってくる」神戸新聞 2000年3月24日掲載

執筆者:森 有美弁護士

建物を所有する目的で土地を貸して、何年か後に契約期間が満了する時には、必ず土地を返還してもらいたいと考えています。そんな借地権はあるのでしょうか。

相談者:先日父が亡くなり、更地を相続しました。空いている土地だし、人に貸して賃料をもらいたいと思っています。借地権を設定した場合、期間が満了すれば土地は返してもらえますよね。

弁護士:従来からの建物所有目的の借地権だと、借地上に建物が存在する限り、地主に正当理由がなければ更新拒絶はできないし、この正当理由は自分で使用する場合などでなければ、なかなか認められません。だから、多くの場合、借地契約が自動更新されて、半永久的に土地は戻ってきません。それに、正当事由がないのにどうしても契約を終了させて土地を返してもらうには、立ち退き料の支払が必要になることが多いですよ。

相談者:え、そうなのですか。私の子供は今はまだ小さいのですが、将来は、その土地上に家を建ててやろうと思っているのです。  もし、土地を貸したら戻ってこない、高額な立退料を支払わなければならないというのであれば、貸さない方がいいのでしょうか。

弁護士:うーん、難しいですね。ただ、新しい借地借家法で、定期借地権という全く新しい借地権が認められることになりました。

相談者:それは、どういう内容のものですか。

弁護士:定期借地権には、一般定期借地権、事業用借地権、建物譲渡特約付定期借地権があります。このうちの一般定期借地権についていえば、期間は五〇年以上ですが、(1)契約更新しないこと、(2)建物を建築しても期間延長をしないこと、(3)期間満了時に建物の買取を請求しないという、従来の借地権では認められなかった特約を結ぶことができます。
すなわち、定期借地権を設定すると、契約の更新がないので期間満了と同時に契約は終了しますから、必ず土地は返ってくるし、立退料を支払わなくてもよくなります。ただし、その裏返しとして、権利金も低額になることには注意して下さい。
他の定期借地権も、契約期間満了時に契約が終了するというのは同様です。
定期借地権だと、地主は必ず土地を返還してもらえるし、借主も、高額な権利金を負担することなく長期間土地を借りられるというメリットがありますね。

相談者:その定期借地権を設定するにはどうすればいいのですか。

弁護士:以上のような特約に合意の上、公正証書等で設定することが必要です。

相談者:ありがとうございました。参考にさせていただきます。