くらしの法律相談

2000年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「離婚後の金銭問題−時効前なら請求は可能」神戸新聞 2000年5月10日掲載

執筆者:松元 保子弁護士

愛人のできた夫に離婚を迫られ、先日、離婚届を出しました。今からでも財産を分け合ったり、慰謝料を請求したりすることができるでしょうか。

相談者:夫に愛人ができたことから離婚を迫られ、私はやむを得ず先日離婚届に判を押したのですが、夫に対して、どのような請求をすることができるのでしょうか。

弁護士:離婚した場合には、相手方に財産分与や慰謝料を請求することが考えられます。まず、財産分与とは、たとえ名義が一方の配偶者のものであっても、結婚後に二人の協力により取得できた財産を分け合うことをいいます。ですから、あなたが専業主婦であっても、家や預金などについても妻のサポートがあってこそ取得できた財産である以上は、財産分与を請求することが可能です。
つぎに慰謝料とは精神的に苦痛を与えた場合に生ずる精神的損害に対する賠償のことをいいます。あなたの場合には、夫が愛人を作ったことにより精神的に苦痛を被っているので、慰謝料を請求することができるでしょう。

相談者:離婚後であっても、財産分与や慰謝料の請求をすることはできるのですか。

弁護士:できますが、財産分与請求権については離婚成立時から二年で、慰謝料請求権については離婚成立時から三年で、それぞれ時効により消滅します。
したがって、財産分与や慰謝料の請求をするのであれば、できるだけ早いうちにする方がよいでしょう。とくに財産分与については、相手方の財産処分による財産の散逸が予想されるので、できれば離婚成立前にこのような財産分与や慰謝料の金銭問題を解決しておくのはベストでしょう。

相談者:では実際に財産分与や慰謝料を請求するにはどのような手続きが必要になるのでしょうか。

弁護士:まず話し合いにより解決することが考えられますが、合意内容については必ず文書にしておくべきです。公証人役場で公正証書を作成してもらうのが一番確実といえます。しかし、相手方が話し合いに応じないときは、時効期間の経過などを防ぐためにも、早急に家庭裁判所に財産分与および慰謝料請求のそれぞれについて調停申立をするべきでしょう。
調停においてあなたと相手方が合意に至らない場合には調停は不調となり、財産分与については家庭裁判所の審判手続に移行し、慰謝料については地方裁判所に訴えを提起することになります。

相談者:そうですか。今のところ、相手が話し合いに応じそうにないので、早速家庭裁判所に調停申立をすることにします。