くらしの法律相談

2000年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「相続財産の遺留分−遺言になくても相続可能」神戸新聞 2000年6月14日掲載

執筆者:山樹 浩一弁護士

父親が遺言書を作りましたが、全財産を兄が相続するという内容でした。私はまったく財産を受け取るとこができないのでしょうか。

相談者:先生、父と兄がひどいんです。

弁護士:どうしたんですか。

相談者:父が全財産を兄に譲るといって、遺言書を作成したんです。兄は私に一円もやらないと言っています。

弁護士:兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分が認められてますよ。

相談者:遺留分?

弁護士:遺留分というのは、被相続人が遺言により自由に処分できない財産のことです。被相続人が全財産を自由に処分できるとすると相続人の間で著しい不平等が生じるので、このような制度がもうけられているのです。

相談者:私にはどれくらい遺留分があるのですか。

弁護士:相続人はあなたの他にだれがいるのですか。

相談者:私のほかは、母と兄だけです。

弁護士:ということは、遺言がなければ、相続分は、お母さんが二分の一、お兄さんとあなたが四分の一ずつですね。

相談者:はい。

弁護士:あなたの場合は法定相続分(四分の一)の半分、八分の一が遺留分になります。ただし、単純にお父さんの死亡時の相続財産の八分の一になるのではなく、お父さんが生前贈与していた財産を加算したり債務を差し引くことが必要です。
このようにして計算した金額に八分の一をかけたものから、あなたが生前もらった財産額を差し引いたものが、あなたの遺留分額になるのです。

相談者:結構ややこしいのですね。遺留分はどうすればもらえるのですか。

弁護士:まず、お父さんが亡くなられてから一年以内に、お兄さんに対して遺留分の減殺請求をしなければいけません。遺留分減殺請求の行使に特別な手続は必要ありませんが、はっきり意思を表明するためには内容証明郵便で通知したほうがよいでしょう。
遺留分として何をもらうかについてはお兄さんと話し合うことになりますが、話し合いがつかなければ裁判所に決めてもらうことになります。

相談者:わかりました。

弁護士:でも、お父さんがお兄さんに財産を全部譲ろうとしているのには何か事情があるのでは。まず、ご家族でよく話し合うことが大切だと思います。

相談者:父の遺言には納得できません。父と話し合ってみます。