くらしの法律相談

2000年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「離婚後の氏変更−婚姻前の氏と選択可能」神戸新聞 2000年7月26日掲載

執筆者:木村 治子弁護士

夫との離婚を考えています。私の氏はどうなりますか。私が養育する子の氏についても教えてください。

相談者:私は「○○」という者ですが、夫が家庭生活を顧みないために離婚しようと思っています。小学生の子供が一人おり、この子の親権者には私がなる予定です。
結婚したとき、私が夫の氏(姓)「○○」になったのですが、離婚した場合に、私の姓はどうなりますか。

弁護士:民法は、夫婦が婚姻する際には同一の氏を称するよう定めています。婚姻した夫婦の約九八%が夫の氏を称しているのが現状です。これが男女の実質的平等に反するとして、婚姻後も妻が従来の氏を選べるよう、民法の規定を選択的夫婦別氏に改めようとしていますが、これはいまだに日の目をみていません。
ところで、あなたが離婚する場合には、婚姻の際に夫の氏に改めたあなたが、婚姻前の氏に戻ります。これを復氏といいます。
しかし、復氏する妻が婚姻中の氏を称したい場合には、離婚後三カ月以内であれば、戸籍の届け出をすることによって、婚姻の際の氏を称することができるようになりました。

相談者:私が夫と離婚して、婚姻前の氏「△△」に復した場合、子の氏はどうなりますか。

弁護士:子の氏は、夫の氏である「○○」のままです。子が十五歳未満ですから、親権者となるあなたが子の法定代理人となって、子の氏「○○」をあなたの氏「△△」に変更することができます。
ただし、これには家庭裁判所の許可が必要です。家庭裁判所から子の氏を「△△」に変更する許可をもらい、この審判書を戸籍係に届け出ると、子は夫「○○」の戸籍から除籍され、あなたの戸籍「△△」に入籍され、「△△」という氏に変わります。

相談者:私が離婚後も夫の氏「○○」を称し続けた場合には、子の氏について何もしなくてもよいのですか。

弁護士:呼称としてはあなたも子も同じ「○○」ですが、戸籍の扱いは異なります。子は夫の戸籍に入ったままです。したがってあなたが自分の新戸籍に子を入籍させるためには、同様に子の氏の変更の許可を求めなければなりません。

相談者:夫は、離婚後も子の氏の変更は許さないと言っていますが、この場合はどうなるのでしょう。

弁護士:家庭裁判所は、申し立てがあると、子の氏の変更の必要性や相当性を審理して、許可の当否を決めます。あなたが子とともに生活し養育監護をしているのであれば、ほぼ問題なく許可されます。