くらしの法律相談

2000年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「共有している土地−分割請求はいつでも可能」神戸新聞 2000年8月9日掲載

執筆者:川崎 志保弁護士

相談者:私と兄とで土地を共有しているのですが、兄は事業上の借金の担保として、自分の持ち分について銀行のために抵当権を設定しています。昨今の不況の影響で、兄の事業はうまくいっていないようですので、兄は持ち分を他人に譲渡してしまうかも知れません。そのようなことになっても、私は他人との共有を続けなければならないのでしょうか。

弁護士:そんなことはありません。共有者は、他の共有者に対して、いつでも共有物の分割を請求することができます。その方法としては、まず他の共有者との協議をすることになります。協議が整わなければ裁判所に分割請求の訴えを起こすことが出来ます。
分割の具体的な方法としては、(1)共有物をそのまま分量的に分割する方法(現物分割)、(2)共有物を売却してその代金を分ける方法(代金分割)、(3)共有者の一人が共有物の所有権を取得して、他の共有者に金銭を支払う方法(価格賠償)があります。

相談者:では現時点でも、兄に対して共有物の分割請求をすることができるわけですね。

弁護士:そうです。

相談者:その場合、兄の持ち分に設定されている抵当権はどうなりますか。

弁護士:まず現物分割の場合は、抵当権は持ち分の割合に応じて共有物全部のうえに存続することになります。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、分割後、お兄さんが取得した部分のみに抵当権が集中するのではなくて、あなたが取得した部分にも抵当権が残るという意味です。ただし、その割合はお兄さんの持分に限定されます。
次にお兄さんが土地全部を取得し、あなたは価格弁償を受けるという場合は、お兄さんが取得した土地に抵当権が存続することになり、あなたが抵当権の負担をすることはなくなります。
逆にあなたが土地全部を取得してお兄さんに価格弁償をする場合とか、代金分割をする場合は、物上代位といって、銀行はお兄さんの持分の代価から債権の回収を図ることもできますし、あなたが土地を取得した場合は、その土地についても抵当権を主張することができるとされています。

相談者:ありがとうございました。参考にさせていただきます。