くらしの法律相談

2001年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「離婚後の養育費−元夫にも支払いの義務 親権有無は無関係」神戸新聞 2001年5月16日掲載

執筆者:戸谷 嘉秀弁護士

3年前に夫の暴力が原因で離婚して、親権者となって未成年の2人の子供を引き取ったのですが、養育費については何も決めていませんでした。どうしても生活が苦しいので、別れた夫に養育費を出して欲しいと頼んだところ、「自分は親権者ではないから出す必要はない」と言って払ってくれません。夫の言うことは正しいのでしょうか。

弁護士:養育費は、親の子に対する扶養義務(民法877条1項)に基づいて支払われるものですから、親権者であるかどうかは関係ありませんよ。いわば親子であることから当然に発生する義務だと考えてください。たとえ両親が離婚しても、子供は両方の親の子供ですから、別れただんなさんも養育費を払う義務があります。

相談者:でも、離婚してからもう三年になりますが、今からでも請求できるのでしょうか。

弁護士:養育費は、子供さんの日々の生活を現在から将来にわたって保護するものですから、今後の養育費についてはもちろん請求できます。

相談者:たくさんもらえるに越したことはないのですが、一体どのくらいの金額を請求できるものなのでしょうか。

弁護士:相手にも生活があるわけだし、あなたと先方の収入や生活状況などによって変わるので、一概に幾らとは言えません。大ざっぱに言えば、離婚せずに一緒に暮らしていたと仮定して、「相手の収入のうちの子供さんのために使われるであろう金額」ということになるでしょうね。

相談者:過去三年の分は払ってもらえないのでしょうか。

弁護士:今も説明した通り、養育費の金額は幾らとはっきり決まっているものではないので、過去の分については直ちに請求できるものではありません。その分も含めて相手と話し合いで決めることになります。

相談者:私が電話で言っただけでは夫は全く払ってくれそうにないのですが、どうしたらいいのでしょうか。

弁護士:家庭裁判所に調停を申し立てて、中立な第三者を交えて話し合いをしてみてはどうですか。最終的にどうしても話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所が一切の事情を考慮して、適切な金額を決めてくれます。