くらしの法律相談

2001年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「会社倒産時の賃金−労働基準監督署に申し出を」神戸新聞 2001年8月15日掲載

執筆者:片山 聡弁護士

私が勤務する会社は、1年ほど前から資金繰りが悪化し、最近3か月は賃金も未払いのままです。社長の話では、近々破産の申し立てをするとのことですが、会社が破産してしまった場合、未払いの賃金や退職金は支払ってもらえるのでしょうか。

弁護士:破産手続き上、賃金や退職金などの労働債権については、優先的に配当を受けることができる債権とされています。

相談者:ということは、支払ってもらえるのですね。

弁護士:必ずしもそうとは限りません。会社の財産が十分なければ、全額支払われるわけではありません。また、支払われるとしても、破産手続きにのっとってということなので、時間がかかることがあります。

相談者:それは困ります。これから再就職するまでの生活はどうなるのですか。

弁護士:賃金の支払いの確保等に関する法律に基づく「未払い賃金の立て替え払い事業」という制度があります。これは、一定の要件を満たして労働基準監督署長の認定を受けた事業主に代わって、労働福祉事業団が未払い賃金のある労働者に賃金を弁済するものです。

相談者:どうすればその立て替え払いをしてもらえるのですか。

弁護士:この立て替え払い事業には、会社が破産宣告など裁判上の倒産処理手続きに至った場合と、そうでない場合との二通りあります。あなたの会社が破産の申し立てをすることは確実なのですか。

相談者:はい。準備も完了して、近く申し立てるそうです。

弁護士:裁判上の倒産手続の場合は、裁判所、破産管財人などから立て替え払い事業の対象となるための要件と未払い賃金額などについての証明を受け、立て替え払い請求書を労働福祉事業団に提出してください。

相談者:未払い賃金は全額支払ってもらえるのですか。

弁護士:立て替え払いされる賃金額は、立て替え払いを請求する労働者にかかる未払い賃金総額の80%に相当する額です。ただし、労働者の年齢に応じて限度額が定められています。

相談者:そうですか。ほかに私がやるべきことはありますか。

弁護士:会社が破産手続に入った場合、一応裁判所に債権届出をしておいてください。この債権は先ほどお話した通りの優先債権となります。いずれにせよ、会社が倒産状態になって、賃金などが未払いになったときは、直ちに労働基準監督署に申し出て相談を開始することが大切ですね。