くらしの法律相談

2001年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

<<2001年掲載一覧へ戻る

「借家契約の保証人−賃借人と連帯責任を負う」神戸新聞 2001年9月19日掲載

執筆者:国枝 俊宏弁護士

20年ほど前、当時の部下に頼まれて借家の保証人になったのですが、借家契約の保証人はどんな責任を負うのでしょうか。

弁護士:賃借人が賃料を延滞したり、通常の用法に反して貸し室を棄損したりした場合、賃貸人に対して、賃借人と連帯して延滞賃料を支払ったり、原状回復のために要した修理費用などの損害賠償をしなければならない責任を負うことになります。

相談者:重い責任ですね。建物賃貸借契約の期間は二年とか三年と決められていることが多いと思うのですが、保証人が責任を負う期間も、その二年とか三年の間だけではないのですか。

弁護士:建物賃貸借契約は、その契約期間が満了しても、契約は原則としてそのまま自動的に従前と同一の契約条件で更新され、さらに契約が引き続き継続していく仕組みになっています。

相談者:私が保証人として判を押したのは、一番最初の契約書だけなのですが。

弁護士:その契約書に「保証人は本契約期間内に限り保証人としての責めを負い、契約更新後の債務については一切その責任を負わない」というような特約条項でも書かれていない限り、更新後の賃貸借から生じる債務についても保証人は責任を負うことになります。最近出された最高裁判所の判決でもこのように述べられています。

相談者:そうなんですか。ところで、賃貸人が言われるには、当時の部下が滞納している賃料は一年分で百万円を超えるそうです。賃貸人から突然百万円を支払うよう言われて驚いています。年金暮らしの私にとても支払える額ではありません。

弁護士:前に挙げた最高裁判例は、「(具体的事情次第では)賃貸人の保証人に対する請求が否定されることがあり得る」と述べられています。滞納賃料が一年分百万円に達するまで保証人のあなたに全く連絡をしてこなかった賃貸人の対応に問題がないとはいえませんね。このような点を踏まえて、賃貸人とよく話し合ってみてください。

相談者:分かりました。