くらしの法律相談

2001年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「「任意後見」制度−監督人の下で財産を管理」神戸新聞 2001年11月6日掲載

執筆者:長城 紀道弁護士

兄の痴ほうが進み、知り合いに土地・建物をだまし取られそうになりました。私も年を取り、自分の財産が守れないくらいぼけてしまったらどうしようかと、すごく心配です。

弁護士:だれでも自分の老後は心配ですよね。

相談者:いつ兄みたいになるか分からないし、頭がしっかりしている今のうちに、代わりに私の意思を尊重して財産を管理してくれる人を見つけたいと思っているんですよ。

弁護士:最近「任意後見」という制度ができたんですが、これを使ってみてはどうですか?

相談者:なんだか難しそうですね。簡単に言うと、どんなことがでできるんですか?

弁護士:あなたが、痴ほうなどのために自分の財産を適切に管理できなくなる将来に備えて「任意後見人」を選んでおき、生活の補助や財産の管理などを引き受けてもらう制度です。 これを「任意後見契約」と言います。だれでも好きな人を選ぶことができるし、やってもらいたい事柄をあらかじめ決めておくことも可能です。例えば、あなたの財産の売買や賃貸から、生活費の送金、あなた自身のの要介護認定の申請などもしてもらうことができます。

相談者:へえ。それで、任意後見人はいつから私の財産の面倒を見てくれるんですか。

弁護士:あなたの痴呆の症状などが進んで、自分のしていることの意味をよく理解できなくなったときには、任意後見人を監視する役目の「任意後見監督人」という人を、申し立てにより裁判所が選任します。このときから、任意後見人の仕事が始まります。

相談者:任意後見人が万が一にも勝手なことをしないように、監督を付けてから仕事をしてもらうんですね。ところで、任意後見契約は口約束でいいんですか。

弁護士:いや、それではいけません。自分の将来の大切なことを決める大事な契約ですから、公証役場に行って公正証書を作らなければなりませんよ。まずは、最寄りの公証役場に連絡して、必要書類や手数料について確認してみてはどうですか。