くらしの法律相談

2003年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「暴力原因の離婚−家裁に調停申し立てを」神戸新聞 2003年9月30日掲載

執筆者:伊東 香保弁護士

夫の暴力のために、家を出ています。離婚したいのですが夫に会うのが怖いのです。会わずに離婚することはできないでしょうか。

弁護士:どこに身を寄せているのですか。

相談者:友人の家です。これまでに何度も家を出ましたが、実家にいると夫が迎えに来て「俺が悪かった」「もう殴らない」などと言って連れて帰るので、今回は友人を頼っています。でも長くはいられません。

弁護士:子どもさんはいるのですか。

相談者:八歳の長男を夫のところに残しています。行き先が決まれば引き取りたいと思っています。

弁護士:まず夫婦間であっても暴力を振るうことは、犯罪であって許されません。けがをした時の写真や医師の診断書があれば、暴力を証明する大切な証拠となります。
夫と会わずに離婚する方法ですが、協議離婚届に夫のサインをもらえなければ、家庭裁判所に調停を申し立ることになります。調停では調停委員と裁判官があなたと夫の話を聞き、夫が離婚に同意したら調停離婚ができます。父と母のどちらが子どもの親権者になるかの話し合いもあります。

相談者:夫は私と別れるつもりはなく、離婚届も書いてくれません。でも調停にいって夫に会うような怖い思いをするのなら、離婚できなくても仕方がないと…。

弁護士:調停が成立するときは別として原則、二人一緒に調停室に入ることはありません。別々に呼ばれて事情や意向を聞かれます。調停委員会の判断で時には同席して話し合うこともありますが、強く拒否すればそうならないでしょう。

相談者:でも建物内で出会うことはないですか。夫は、私が自分の言うとおりにならないこと自体が気に入らないので、私を見れば殴りに来ると思うのです。

弁護士:裁判所には多くの他人がいるので、そこで暴力を振るう人は少ないと思いますが、どうしても心配なら、調停の申立をするときに、そのことを受付の人に話してください。そうすれば事情を聴く日時を別にして、顔を会わせないように配慮してもらえます。
また同じ日に二人が呼ばれるとしても、時間をずらして、あなたが部屋に入った後に夫を呼ぶ▽二人は別の部屋に入って調停委員が部屋を移動する▽先にあなたを帰してから夫を帰す−などの方法で、会わないようにできます。遠慮なく相談してみてください。