くらしの法律相談

2003年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「裁判員制度って−裁判官と一緒に刑事事件審判」神戸新聞 2003年10月7日掲載

執筆者:幸寺 覚弁護士

最近、「裁判員制度」とか「裁判員」という言葉をよく耳にするのですが、どういうもので、どんなことをするのでしょう。私も裁判員になることがあるのでしょうか。

弁護士:裁判員制度は知らなくても、アメリカの陪審制、陪審員は知っているでしょう。

相談者:もちろん。よく映画などにもなっている、素人の市民が裁判する制度ですよね。

弁護士:簡単に言うとそうです。それに対して裁判員制度とは、プロの裁判官と素人の市民である裁判員が話し合って、刑事事件の有罪・無罪と懲役何年というような刑を決める、日本で近い将来導入される制度です。

相談者:陪審制となにが違うのですか。

弁護士:陪審制は、素人の市民である陪審員だけで有罪・無罪を決めるのに対して、裁判員制度は、プロの裁判官と素人の裁判員が一緒に議論して有罪・無罪を決めるところが主に違います。

相談者:裁判員はどのように選ばれるのですか。

弁護士:選挙人名簿などから無作為で選ばれるので、あなたも可能性はありますよ。

相談者:でも素人の裁判員がプロの裁判官と議論できるのですか。萎縮してしまいそうです。

弁護士:あなたが言うように、市民がプロの裁判官と萎縮することなく自由に議論できるためには、裁判員は裁判官の少なくとも3倍以上は必要だとわれわれは言っているのですが、同じ数くらいで十分という反対意見もあります。

相談者:市民が裁判官の3倍以上いれば心強いですね。ただ、いざ裁判員として呼び出されても、仕事があって行けないのじゃないかなあ。

弁護士:そうは言っていられませんよ、義務だから。もちろん会社を休んでも大丈夫なような休暇制度を作ってもらわないといけないけれど。

相談者:そもそもなぜ裁判員制度が導入されることに?

弁護士:民主主義国家では、行政、立法と並ぶ司法に対する市民の参加が当然であり、むしろこのような制度がなかったことがおかしかったのです。市民の権利を守る裁判に市民の良識を反映させることは、大きな意義がありますよね。

相談者:裁判員はまだ先の話なんですか。

弁護士:いや来年には法律が成立する予定です。

相談者:じゃあ早く勉強して、裁判員として呼び出されても大丈夫なようにしておきます。裁判官と一緒になって裁判できるのは不安はあるけど、何か楽しみで気が引き締まる思いもしますね。