くらしの法律相談

2003年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

<<2003年掲載一覧へ戻る

「HPへの書き込み−管理者に情報開示の請求を」神戸新聞 2003年11月4日掲載

執筆者:森津 純弁護士

Q:あるホームページの掲示板に、私を誹謗(ひぼう)中傷する内容の書き込みが繰り返しなされています。匿名で書き込める仕組みのため、誰が書いているのか分からないのですが、やめさせることはできませんか。また、書き込んだ人に損害賠償の請求はできないでしょうか。

A:誹謗中傷と一言で言ってもその内容はさまざまですが、掲示板になされている書き込みがあなたの名誉を傷つけるようなものであれば、「人格権としての名誉権」を法的根拠として、そのホームページ(HP)の管理者に、あなたの名誉を傷つける内容の書き込みを削除するよう求める仮処分を行うことができます。

HPの管理者の名前や住所がはっきりしているなら、管理者相手にまず警告の書面を出し、それでも管理者が何の措置も採らなければ、裁判所に仮処分を求めるべきでしょう。まず管理者相手に削除を求めていくのが現実的対応だと思います。

問題は、管理者そのものの正体が分からないケースです(これが結構多いはず)。その時は、プロバイダーに情報提供を求めるしかありません。

従来、プロバイダーはHP管理者に関する情報を被害者に教えることに消極的でしたが、昨年施行されたいわゆる「プロバイダ責任法」によって、一定の場合にはプロバイダーに管理者の情報開示を求めることができるようになりました。これで管理者の特定ができると期待されます。

もっとも、プロバイダーそのものに、HPの全部または一部の削除を求めることも可能です。書き込みをやめさせる手段としては、(1)HPの管理者に対する仮処分(2)プロバイダーに対する仮処分の二つが考えられます。

次に匿名で書き込んだ人に対する責任追及ですが、匿名なので難しいのは事実です。しかし、その場合もプロバイダ責任法によって、発信者に関する情報の提供を求めることができるようになりました。

HP管理者のみならず、掲示板に書き込みを行った人物に関する情報提供も求めることができるので、相手が特定できれば、名誉毀損の不法行為として損害賠償の請求ができます。損害賠償については、プロバイダーやHPの管理者に対しても可能となる場合がありますし、認められた裁判例もすでにあります。