くらしの法律相談

2004年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「設備の不備−管理組合で売り主に請求を」神戸新聞 2004年2月17日掲載

執筆者:宮本 次郎弁護士

Q:防犯カメラなどのセキュリティー設備の充実を宣伝文句にしたマンションを購入しました。ところが入居してみると防犯カメラはあるものの、視聴、録画装置はなく、空き巣事件も発生しました。皆不安なので、管理組合を通して、売り主に視聴・録画装置の設置を求めたいのですが。

A:通常、マンションの売買契約においては、売り主は買い主に対し、売買目的物であるマンション(一部屋)を引き渡す義務しか負っていません。

しかし、本件のマンションは、防犯カメラなどのセキュリティー設備の充実を宣伝文句に売り出されたものなので、売買契約には、マンションの玄関などの共用部分に防犯カメラなどのセキュリティー設備を設置することを保証する特約が含まれています。そして売り主は買い主に対し、マンションを引き渡す義務だけでなく、共用部分に防犯カメラなどを設置する義務も負っていると考えられます。

またカメラを設置したとしても、画像を視聴、録画する装置がなければ防犯目的は達成できないので、売り主の防犯カメラなどの設置義務には当然、カメラの画像を視聴、録画する装置を設置することも含まれます。
従って買い主は、前述の保証特約に基づき、売り主に対し、防犯カメラなどの設置義務を完全に果たすよう、売り主負担で防犯カメラの画像を視聴、録画する装置の設置を請求できます。
また民法で、自己の費用で視聴、録画装置を設置した上で、売り主にその費用を損害として請求することもできます。そして、マンションの管理組合は全買い主で構成されるものなので、管理組合を通して売り主に対し、これらの請求をすることも当然、可能です。

ただし、前述の保証特約はマンションの売買契約書に記載のない黙示的なものなので、不誠実な売主であれば、そのような特約は結んでいないと主張し、任意に買い主の請求に応じないことも考えられます。

そのような場合には、買い主の方で調停や訴訟を起こし、売買契約に前述の保証特約が含まれていることを証明しなければなりません。証明資料としては、防犯カメラなどのセキュリティー設備が充実している旨の宣伝文句が記載されているマンションのパンフレットなどが考えられます。