くらしの法律相談

2004年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「点検装う消火器販売−8日以内であれば無条件で契約解除」神戸新聞 2004年6月15日掲載

執筆者:芝崎 准一弁護士

Q:消火器の無料点検で自宅に来た業者が、持ち帰って検査すると言うので、差し出された書面にサインしました。ところが、実はこの書面は消火器の購入契約書でした。業者からは「10万円払え。払わなければ前の消火器も返さない」と言われて困っています。

A:消火器の購入契約書と知らされずサインさせられ、しかも購入代金として10万円も請求されているのですから、消費者を狙った悪質な業者だといえるでしょう。このような請求を断るには、いくつかの方法が考えられます。

まず、消火器は、政令により特定商取引法(旧訪問販売法)が規制する「指定商品」に定められていますから、業者より契約書を受け取ってから8日以内であれば、無条件で契約の解除をすることができます(いわゆるクーリング・オフ制度)。

次に、期間の経過などによりクーリング・オフができない場合です。業者から消火器の販売について説明など一切なされず、しかも契約書の署名欄以外の箇所を見せてもらえなかったというような事情があれば、消火器を購入する意思が全く欠けていたといえます。それゆえ、契約がそもそも成立していないとして、業者の請求を拒むことができるでしょう。

これに対し、ご質問者が購入契約書であることを見落としていた場合には、契約は一応成立していることになると思われます。ただ、消火器を購入する意思は実際にはなかったとして、ご質問者に「錯誤」があったことを理由に、契約の無効を主張することが考えられます。

また、業者が、点検の依頼や消火器の持ち出しに必要な書面だからと偽って書面にサインさせた場合には、「詐欺」を理由に契約を取り消すこともできるでしょう。

ただ、以上のような主張をしても業者は請求をやめない場合もあります。そのときは弁護士にご相談下さい。