くらしの法律相談

2004年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

<<2004年掲載一覧へ戻る

「覚えのない痴漢行為−犯行を否認し続けること」神戸新聞 2004年8月17日掲載

執筆者:立花 隆介弁護士

Q:いつもの通勤電車内で突然、前にいた女性に手をつかまれ、「この人痴漢です!」と叫ばれ、次の駅で警察に突き出されました。一切身に覚えがないのでそう主張し、その場は帰してもらえましたが、また警察に呼ばれることになるのか、その場合はどうなるのか、不安な毎日です。

A:おそらく警察から呼び出しを受けて、再度取り調べを受けることとなると思われます。この呼び出しに応じる義務はないのですが、特段の理由もなく応じなければ、逮捕など身柄の拘束を受けることもありうるので注意が必要です。
あなたの場合は犯行を否認しますので、取り調べは1回では終わらないことも考えられ、その後も呼び出しを受けるかもしれません。

警察の後、検察官の取り調べも受け、あなたや女性の供述、電車内の客観的状況などから、あなたを刑事裁判にかけるかどうかを判断します。起訴されれば、裁判所であなたの無実を争うことになります。一方で、犯行の立証が難しいと判断されれば、不起訴処分となることも考えられます。

ところで、あなたは痴漢行為をしていないのですから、今後の取り調べでは、犯行を否認し続けることが重要です。仮に、警察官から犯行を認めるように求められても、絶対に応じてはいけません。いったん認めてしまうと、あなたが痴漢行為をしたことを前提に手続きが進みます。裁判なってからそれを覆すことは難しく、やってもいない痴漢行為で罰せられるということにもなりかねません。

あなたには何も話さなくてもよい黙秘権もありますので、警察官があなたの主張を聞いてくれないときには、それ以降何も話さないということもできます。

また、供述調書が作成された際には、内容をしっかりと確認してから署名するようにしてください。内容の訂正を求める権利もありますので、ニュアンスも含めて、あなたの言い分と違っている点は必ず訂正を求めるようにしてください。署名を拒否する権利もありますので、調書の内容に納得がいかなければ署名しないこともできます。

今後取り調べが行われますが、やっていない罪で罰せられないように、自分の言い分と違った内容の調書を作成されないことが大切です。