くらしの法律相談

2004年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

<<2004年掲載一覧へ戻る

「ネットオークション−瑕疵あれば代金一部返還も」神戸新聞 2004年11月16日掲載

執筆者:山口 達也弁護士

Q:インターネットのオークションサイトで、有名家具デザイナーがデザインした中古ソファを30万円で購入しました。ところが、送られてきたソファを見ると、サイト上に掲載されていた写真には写っていなかった傷があったのです。支払ったお金を返してもらうことはできるでしょうか。

A:新品の量産品であれば、別の品に取り換えてもらうことができますが、本件の中古ソファの場合、これと全く同じ状態の物はなく、取り換えてもらうということはできません。このように、その物1点しか存在しない物を、「特定物」と呼んでいます。

民法では、ある人が特定物を引き渡す義務を負う場合、その物を現状のまま引き渡すだけで、その義務を免れるとされています。

そのため、本件でも、傷が付いたままの状態でソファを引き渡せば、出品者は、ソファを引き渡たすという義務それ自体は果たしたことになります。

もっとも、民法では、このような場合に、「瑕疵(かし)担保責任」という規定を定めています。ここでいう「瑕疵」とは、故障や傷のことをいいます。

売買の目的物に通常では分からないような瑕疵があった場合、この規定により、買い主は売り主に売買代金の範囲内で損害賠償を請求することができます。
本件のような、商品を実際に手に取って見ることが困難なインターネットオークションにおいては、掲載写真に傷が写っていないということは、通常では分からない瑕疵があるものとして、代金の一部を返してもらえると考えられます。また、ソファとして使用することができないほど傷が大きいような場合には、この規定により契約を解除し、支払ったお金を返してもらうこともできます。

なお、インターネットによる買い物は、自宅に居ながらでき便利ですが、その半面、売り手の顔が見えないことからさまざまなトラブルが生じるおそれもあります。利用の際にはくれぐれも注意してください。