くらしの法律相談

2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「仕事中の追突事故−会社にも賠償責任」神戸新聞 2005年3月29日掲載

執筆者:福島 健太弁護士

Q:私はある会社の営業担当従業員です。先日、会社の車を運転して得意先回りをしている途中、追突事故を起こしました。被害者から、車両損傷の修理費などとして100万円を請求され、私の会社が支払いました。今後、会社や被害者から私に請求が舞い込むことがあるのでしょうか。

A:まず、結論から言えば、被害者から損害賠償請求されることはありませんが、会社からは請求される可能性があります。

法律では、従業員が業務に関連して他人に損害を与えた場合、その従業員だけでなく、会社も被害者に対して損害賠償をする責任があると規定しています。そして、会社が被害者に対し損害賠償をすれば、もはやその従業員は被害者から損害賠償請求されることはなくなります。

その一方で、法律は、このように会社が被害者に対し損害賠償をした場合、会社はその従業員に支払った賠償金を請求できると定めていますから、今後、会社から請求される可能性があります。

ただ、会社は従業員に対し、常に損害賠償金全額を請求できるわけではありません。その事故が、会社の過酷な労働条件により引き起こされたと言えるような場合、会社にも一定の責任が認められ、これを除いた金額だけ、従業員に請求することができると判例上認められています。従って、この場合、会社が被害者に百万円を支払っていたとしても、事故に対する会社の責任割合に応じて、その額だけは支払を拒むことができます。

また、従業員が会社へ賠償金を支払うことになったとしても、毎月の給料の全額をこれに充てることはできないと法律上規定されていますので、賠償金を会社に支払い終わるまで全く給料がもらえなくなる、と言うことはありません。