くらしの法律相談

2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「スキミング被害−現状は困難だが改善へ」神戸新聞 2005年7月5日掲載

執筆者:手塚 祥平弁護士

Q:銀行預金口座からお金を下ろそうとしたところ、残高不足と言われ、通帳記入をしてみると、その数日前、私の知らないうちに残高約100万円全額が引き出されていました。何者かが引き出したようです。銀行に対して、何らかの賠償を求めることはできますでしょうか。

A:通帳記入をして気づいたということ、不正引き出しが数日前に行われたことなどから、犯人は、あなたのキャッシュカードの磁気情報を読み取る、いわゆるスキミングの手口で、キャッシュカードを偽造したものと思われます。

銀行に対しては、被害額の補償を求めることになりますが、この場合、基本的には、偽造カードに関する銀行の約款が問題になります。

現在の一般的な約款では、偽造カードによる引き出しの場合、(1)ATMが、挿入されたカードを真正なカードと認識し、暗証番号が一致した場合には、銀行は原則として責任を負わないが、(2)カードと暗証番号の管理について預金者に過失がないと銀行側が確認できた場合には、その限りでないとされています。

このような約款に基づいて、被害額の補償を求めるには、カードと暗証番号の管理について、あなたに過失がないことの銀行側による確認が必要になりますが、実際には、この確認は困難であり、預金者が補償を受けられないケースが多いようです。

しかし、最近、偽造キャッシュカードによる被害が多発していることから、より預金者を保護する方向での法律・約款の制定作業が進められています。例えば、偽造カードによる損害は、原則として金融機関が負担し、預金者の重大な過失を金融機関が立証した場合には、預金者が負担するなどの案が検討されています。

今後、このような趣旨の法律・約款が制定・実施されれば、本件のような場合に補償を受けられる可能性が高まるものと思われます。