くらしの法律相談

2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「倒れそうな隣家の木−切除求めるのは可能」神戸新聞 2005年9月6日掲載

執筆者:本 直彰弁護士

Q:台風の影響で、私の家の隣の木が立ち枯れ、敷地内にとめている私の車の上に傾いてきています。今後、冬に雪が積もるなどすればその重みで木が倒れる恐れがあり、車にあたるのではないか、気が気でありません。お隣さんに何とかしてもらいたいのですが、応じてくれないのです。

A:お隣さんは、台風の責任にしているのかもしれませんが、たとえお隣さんに不注意などの過失がない場合でも、あなたは次のような請求ができます。

まずあなたは、お隣さんに、あなたの敷地内にはみ出ている部分を切除するように求めることができます(民法233条1項)。はみ出た部分だけを切除しても問題が解決しない場合、たとえば木全体が倒れてくる危険がある場合などには、所有権に基づく妨害予防請求権によって、その危険を除去してもらうために、支え木などによる補修や木の切除を求めることができます。

お隣さんとのご関係は、将来も継続するのが通常ですので、できることなら話し合いによる解決が望まれますが、話に応じてくれない場合には、民事調停という制度を利用することができます。

しかし、調停でも合意が見込めない場合、あるいは、調停が不成立となった場合には、民事裁判を提起するしかありません。

緊急を要する場合には、仮処分命令により、裁判所執行官によって木を切除してもらうという方法がありますが、この場合は、数万円から数十万円の担保金を納める必要があります。担保金については、後日、民事裁判での勝訴やお隣さんの同意などによって、返還を受けることができます。

お隣さんの同意を得てあなた自身が木を切除することは、法律上問題はありませんが、無断で切除することは、かえって損害賠償請求をされるおそれもありますのでやめておきましょう。