くらしの法律相談

2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「公道に出る私道に柵−民法に隣地通行権」神戸新聞 2005年9月20日掲載

執筆者:中島 賢二郎弁護士

Q:私は一戸建て住宅に住んでいますが、向かいが転居し、新しい家族が越してきました。向かいと私の家との間には公道に出るための私道があり、私は苦情を言われることもなく通ってきましたが、新しい方は柵を設けて私が通行できないようにしてしまいました。どうすればよいでしょうか。

A:あなたの土地が、他人の土地に囲まれていて、公道に通じていない土地(袋地)であれば、民法により隣地通行権が認められ、その土地を囲んでいる他の土地を、その土地の所有者の承諾なく、当然に通行のために使用することができます。

したがって、あなたの土地が他人の土地に囲まれていてその道を通らなければ公道に出られないのであれば、あなたには、その道を通行する権利が認められ、向かいのお宅の方がこれを妨害するのであればその排除を求めることができます。

他に公道に通じる通路がある場合でも、その通路の幅が極端に狭い場合(50センチ程度)に隣地通行権が認められた場合もあります。

隣地通行権が否定される場合でも、その私道が建築基準法上の位置指定道路で、その私道の通行が日常生活上不可欠である場合には、判例上、その通路を通行する個人にも、人格権の一態様としての通行権に基づく通行妨害行為の排除請求が認められています。この位置指定道路とは、建物敷地は、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないのですが、その要件を満たすために関係者の申請に基づいて、都道府県知事又は建築主事を置く市町村の長から位置の指定を受けた道路のことです。

また、位置指定がなくても、通路に供しているとの理由で固定資産税が免除されている場合などは、土地所有者の通行妨害が権利の濫用となり、妨害行為の排除が認められる場合もあるでしょう。