くらしの法律相談

2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「購入教材の返品−クーリングオフ制度利用を」神戸新聞 2005年10月4日掲載

執筆者:井上 篤弁護士

Q:ある業者から訪問販売で学習教材のセットを購入したが、あまり効果がなさそうな物でしたので、返品して代金を返してもらいたくて、業者に問い合わせてみると、「学習効果を保証するとは一言もいっていない。お客様の判断で購入したのだから、今さら返品は困ります」と言われました。

A:クーリングオフという方法を利用すれば返品できます。クーリングオフとは、契約が「特定商取引に関する法律」の特定商取引に該当する場合に消費者保護のために無条件に契約を取り消すことが出来る制度のことです。お尋ねの件は訪問販売ですので特定商取引のうちの「訪問販売」か「電話勧誘販売」にあたりクーリングオフが可能です。インターネットを利用した場合も平成14年の法改正でクーリングオフが可能になりました。

特定商取引に該当する場合、販売業者は「法定書面」といってクーリングオフについて朱色で示すなどの法定の要件を備えた書面を消費者に送付することが求められています。この書面の到達後8日間であれば、業者に配達証明付きの内容証明郵便を送付することにより無条件で解約できます。法定書面が到達していない場合や到達した書面が法定要件を満たしていない場合にも同様に無条件の解約が可能です。なお、お支払い方法が信販会社による分割支払いであれば信販会社に対しても同様の書面を送付する必要があります。このようにクーリングオフを利用すれば返品は容易に出来るでしょう。

問題は、法定書面の到達から8日間が過ぎ、クーリングオフが利用できない場合です。この場合には民法上の錯誤無効を主張しなければなりませんが、錯誤の証明は非常に難しいので返品を求めるのは困難でしょう。

以上のように返品してもらうためにはクーリングオフを利用する必要が有り、8日間という期間以内に早く行動をすることが大事です。

なお、クーリングオフに関して業者がうその説明をしたり、消費者を脅したり困らせたりしたことによって、クーリングオフ期間を過ぎてしまった場合には、消費者は、クーリングオフができる旨などを記載した書面を新たに受け取るまで、クーリングオフ期間が経過しないという新たな制度が平成16年11月11日より施行されました。