くらしの法律相談

2006年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「養育費支払い、困難に−家裁に変更の申し立てを」神戸新聞 2006年1月17日掲載

執筆者:遠藤 創史弁護士

Q:3年前、妻と離婚しました。当時10歳と8歳の子がおり、養育費として、それぞれ月額5万円を、成人するまで支払うことを決め、何とか支払ってきました。ところが、私の収入が減り、支払うことが無理になってきました。どうすればいいでしょうか。また、支払額の減額はできますか。

A:あなたが負担している養育費の支払いが、家庭裁判所の調停または審判によって定められたものである場合には、養育費の未払いを続けると、元妻の申し立てによって家庭裁判所から履行勧告というものが行われます。

この勧告には法律上の効果はありませんが、それでも未払いが続くと、元妻の申し立てによって家庭裁判所から履行命令が行われます。履行命令に従わない場合には、十万円以下の過料に処せれることがあります。過料の制裁を受けるのは、正当な理由なく支払いをしない場合ですが、裁判所の命令ですので、厳重に受けとめなければなりません。

では、あなたがどのような方法をとりうるかというと、調停や審判が成立した当時に予想できず、あるいは前提とし得なかった事情が発生した場合には、調停や審判の変更・取り消しが許されているので、養育費の減額を求めることができます。元妻との協議で養育費の支払いが決められた場合も同様です。

例えば、合意の成立時よりも父の収入が著しく減少し、かつ父の再婚後の生活費も必要になったという事情があった場合について、養育費の減額を認めた事例があります。その手続きとしては、家庭裁判所に対して申し立てを行うことになります。この場合、所得証明や源泉徴収票によって、収入が減少したことなどを証明するとよいでしょう。

補足になりますが、子どもに想定していなかった学費がかかるようになったなどの事情で、定められた額以上の養育費が必要になったような場合には、逆に、元妻側から養育費の増額を求めて審判を申し立てることもできるという点に留意しておいて下さい。養育費の負担は、親の収入を確定した上で、子どもの必要生活費、親の負担能力などを判定して定められるものですが、審判に臨むにあたっては、何よりも扶養を受ける子どもの福利を第一に考えることが大切です。