くらしの法律相談

2006年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「筆界特定制度−迅速な土地の境界確定に寄与」神戸新聞 2006年3月21日掲載

執筆者:瀧上 明弁護士

Q:隣の家の土地と、私の土地との境界がはっきりせず、もめています。はっきりした境界を決めるためには、どのようにすればよいでしょうか。新設された「筆界特定制度」について教えて下さい。

A:このような場合、あなたは、隣家の土地所有者を訴えて、裁判所に境界を決めてもらうことができます(境界確定訴訟と言います)。

もっとも、境界に争いがあるということは、境界石や塀の位置が信用できないか、正確な図面が無いということでしょうから、真実の境界を明らかにするのは容易ではないでしょう。実際に境界確定訴訟をするとなると、あなたも隣家の土地所有者も、土地の使用状況、登記簿上の面積と実測の面積との関係を中心に、境界石や塀が設置された経緯、公図そのほかの図面の記載、土地の高低等の地形など、ありとあらゆる材料を持ち出して境界を争わなければなりません。裁判所の法廷で隣人と争うことになるので、人間関係の悪化も心配です。

また、裁判官は必ずしも土地や登記の専門家ではなく、調べなければならない事実も多いため、審理が長期化します(第一審判決までに平均二年と言われています)。

このような事情から、境界確定訴訟は、厄介な訴訟類型の一つとされてきました。

そこで、二〇〇五年四月六日、不動産登記法の一部が改正され、「筆界特定制度」が創設されました。同制度は今年一月二〇日から施行されています。なお、「境界」と「筆界」は同じ意味です。

この筆界特定制度では、筆界調査委員という土地の専門家が、土地への立入、関係人への質問、関係行政機関への協力依頼などによって事実を調査するので、迅速な筆界特定が期待できます。また、隣接地の所有者同士が直接対決する形式はとられていません。

筆界特定制度が始まっても境界確定訴訟は存続しますが、境界確定訴訟の審理の中で裁判所は筆界特定の結果を参考にできるので、実際上、境界確定の迅速化を図ることができると考えられています。

この筆界特定制度が土地の境界の紛争解決にどう役立つか、現在注目されています。