くらしの法律相談

2006年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「父の財産が兄に−遺留分減殺の請求ができる」神戸新聞 2006年7月4日掲載

執筆者:細川 敦史弁護士

Q:父が4000万円の財産を残し死亡しました。相続人は母と兄と私の3人。しかし、父は長男の兄にすべてを相続するとの遺言を残していました。この場合、私には父の財産を少しでも受け取る権利はないのでしょうか。ある場合は、どうすればよいでしょう。気を付けることはありますか。

A:法律では、兄弟姉妹以外の相続人(典型的には、配偶者や子)は、亡くなった人の財産に遺留分(いりゅうぶん)という権利があると定められています。

遺留分の割合は、直系尊属(父母または祖父母)のみが相続人である場合は財産の3分の1、それ以外の場合は財産の2分の1となります。今回のケースは後者にあたるので、あなたの遺留分の割合は2分の1であり、具体的な金額は、4000万円×2分の1(遺留分割合)×4分の1(相続人が配偶者と子2人の場合の子1人の法定相続分)=500万円となります。

このように、あなたには500万円の遺留分があります。しかし、遺言が無効になるわけではないので、あなたが何も行動をおこさなければ、お兄さんに4000万円全額が相続されてしまいます。

そこで、あなたがお父さんの財産から遺留分を受けるには、あなたの遺留分を侵害しているお兄さんに対して、遺留分減殺(いりゅうぶんげんさい)の請求をしなければなりません。

この請求権は、遺留分を侵害するような遺贈があったことを知ったときから1年以内に行使しないとき、また、相続の開始から10年が経過したときは、時効にかかってしまうので、注意が必要です。

なお、後日お兄さんから「そのような請求は受けていない」と言われて争いになることを防ぐために、遺留分の減殺請求は、口で伝えるだけではなく、配達証明付きの内容証明郵便という形で文書を送るとよいでしょう。

このように遺留分は、一定の相続人の権利として認められていますが、その権利を行使するかは各相続人の意思に委ねられています。お兄さんに財産の全部を相続させようと考えたお父さんの意思やあなたの生活状況等をよく考え、お母さんや、場合によってはお兄さんも交えて話し合ってから、遺留分を行使するか最終的に決めた方がよいと思います。