くらしの法律相談

2007年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「年金分割制度−見込み額など問い合わせを」神戸新聞 2007年2月6日掲載

執筆者:板野 陽一弁護士

Q:夫との離婚を考えています。知人に相談したところ、近々夫婦の年金を分割できるようになると聞きました。どのような制度なのでしょうか。なお、私は夫と結婚してから、ずっと専業主婦をしていました。

A:あなたがおっしゃっているのは、離婚時の厚生年金・共済年金の分割制度(以下、「年金分割制度」とします)のことですね。これは、離婚時に分割割合を決めた厚生年金・共済年金を、年金がもらえる年齢になったら、相手方からではなく、国から直接受け取ることができる制度です。

これまで、ずっと専業主婦をしてきた妻が離婚をしたいと思っても、自分の年金だけでは老後の生活ができないとの不安から離婚に踏み切れなかったり、離婚しても夫からの仕送りがなく生活苦に陥ったりするケースが多くありました。年金分割制度は、離婚後に、従来より多額の年金を確実に支給させることで、前述の問題の解消を図ろうというものです。

具体的な仕組みは次の通りです。まず、年金分割の対象となるのは、婚姻期間における厚生年金・共済年金の報酬比例部分(いわゆる「2階部分」)です。この報酬比例部分の分割割合を夫婦間の協議で決め、公正証書を作成します。もし、夫婦間で話がまとまらなければ、家庭裁判所に申し立てをして割合を決定することもできます。なお、年金分割によって年金の取り分が増える場合、50%を越える割合で分割を受けることはできません。このように分割割合を決めた上で、離婚後2年以内に、社会保険事務所に対し年金分割の請求をします。

この制度の対象は、今年4月1日以降の離婚です。また、受給開始時にはあなた自身が厚生年金受給資格(国民年金、厚生年金、共済年金のいずれかの公的年金制度に25年以上加入していること)を有していなければなりません。

社会保険庁では、分割可能な年金の見込み額などに関する情報提供サービスを実施しています。秘密は守られますので、あなたがいま、離婚を具体的に考えているのでしたら、社会保険事務所にお問い合わせすることをお勧めします。