くらしの法律相談

2007年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「遺言を書いたが・・・−パソコン文書は無効、自筆で」神戸新聞 2007年4月3日掲載

執筆者:井上 伸弁護士

Q:60歳になったので、子どもたちに遺言をしようと思い、パソコンで書いてみました。その後、プリントアウトしたものに署名・押印して、金庫に保管しています。法律的には有効でしょうか。

A:遺言は、うまく作ると、家族と財産が自身の死後に散逸するのを未然に防ぐことができます。遺言をするのはとてもいいことだと思います。

しかし、結論から言うと、質問の遺言書は残念ながら無効です。

遺言には、大きく分けて、自分一人で作ることができるものと、公証人など他人の関与が必要なものとがあります。一人で作ることができる遺言を「自筆証書遺言」といい、他の遺言に比べ簡単に作ることができるのがメリットです。

「自筆証書遺言」は、遺言内容と日付、自身の名前のすべてを自筆で書き、名前のところに押印します。ただし、以上の作業のうち、1つでも欠けていますと、せっかく作った遺言はすべて無効になりますので、注意が必要です。

質問にある遺言は、自分で作成したのに、自筆で書かれていないため無効となってしまったわけです。

「自筆証書遺言」についてさらに続けます。押印は、実印でなく、認め印や母印でも大丈夫です。また、遺言書を封筒に入れて封印をしなくても有効です。ただし、保管や内容の秘密を守るためにはやはり封印されることをお薦めします。

さらに遺言内容の追加や削除などの変更ですが、自筆で変更場所を指示し、変更した旨を付記した上で、署名し、変更部分に印を押さなければ、効果がありません。また、一つの遺言を2人以上の共同で書くと無効になります。

書き方や内容などに不安のある方は、弁護士の法律相談を利用することをお薦めします。すべて自筆で書くのがしんどいとか、保管を確実にしたい場合は、「公正証書遺言」がいいでしょう。最寄りの弁護士か公証人に相談してください。

4月15日は「遺言の日」です。弁護士会は同日前後、県内5会場で遺言に関する講演会や無料法律相談会を開催します。問い合わせは、弁護士会事務局(078−341−7061)