くらしの法律相談

2007年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「国民投票法−国会審議見守ることが大切」神戸新聞 2007年9月4日掲載

執筆者:松山 秀樹弁護士・兵庫県弁護士会憲法問題委員会委員長

Q:憲法改正のための手続きはどのようになっているのですか?
憲法改正のための手続きを定める法律が「国民投票法」であると聞きましたがその内容はどうなっているのですか?

A:日本国憲法96条で、憲法を改正するための手続きを定めています。この規定で、憲法の改正のためには(1)衆参両院の3分の2以上の賛成による発議(2)発議した憲法改正案に対する、国民の過半数の賛成による承認−が必要とされています。国民投票法は、この国民の承認を得るための国民投票について定めた法律です。

なぜ憲法の改正には、国民の承認が必要なのでしょうか。それは、憲法が、個人の人権を保障するために、国家権力を縛ることを目的として定められているからです。私たち一人一人の権利を保障すること、国家権力の乱用によって権利が侵害されることを防ぐことが憲法の最も重要な役割です。その憲法を変えるためには、何よりも私たち国民の賛成が必要なのです。

憲法改正のための国民投票では、投票結果に国民の意思が正確に反映されるとともに、自由で公正な国民投票運動を保障することが重要です。

今年5月に成立した国民投票法では(1)最低投票率の定めがないので、投票率が50%を下回る場合でも、実際に投票があった賛成票と反対票のうちの過半数が賛成の場合、「国民の承認」があったことになる(2)公務員や教員などの国民投票運動に制限があり、自由な投票運動の保障という点から問題がある(3)資金力によってマスコミの有料広告を利用した国民投票運動に差が生じ、これに対する措置がない−など、審議し尽くされていない点があります。国会でも、附帯決議で、今後審議しなければならない点として、これら3項目を含む18項目を挙げています。今後の国会審議を見守っていくことが大切です。

兵庫県弁護士会では、「憲法・人権・平和」をテーマに市民の皆さんから懸賞作文を募集しています(9月末日締め切り)。優秀作は、10月20日の市民集会「語り合おう憲法」で表彰します。詳しくは、県弁護士会ホームページ(http://www.hyogoben.or.jp/)をご覧ください。