くらしの法律相談

2007年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「犬怖がって転倒−賠償責任負う可能性高い」神戸新聞 2007年10月16日掲載

執筆者:森川 拓弁護士

Q:私が飼っている小型犬はおとなしく、いつもリードをつけず散歩しています。先日、自転車で車道を走っていた7歳ほどの女の子の方に私の犬が走っていき、女の子は怖がり逃げようとして転倒、けがをしました。咬んではいませんが、私には賠償義務がありますか。

A:あなたに賠償義務が認められる可能性が高いと思われます。法律上、ペットを含め動物が人に損害を与えた場合、その動物の占有者は、原則として賠償責任を負うことになります。ただし、動物の種類及び性質に従って相当の注意をしていたときは、責任を免れることができます。

本件では、動物である小型犬が、女の子をけがさせたわけですから、あなたが小型犬の種類や性質に従って、相当な注意をしていたかということが問題となります。

あなたとしては、連れていたのが小型犬ですし、おとなしい犬なので、リードをつけなくても問題ないと考えていたのかも知れません。そして、実際に咬んでもいないのだから、賠償義務はないと考えるかも知れません。

しかし、どんな犬であれ、犬が怖いという人はいます。特に、この女の子のように小さい子どもであれば、小型犬とはいえ、とても怖く感じることもあるでしょう。そうであれば、リードをつけずに、散歩していれば、このような事故が起こることは予測可能だといえます。従って、あなたは、相当な注意をしていたとはいえず、責任を負うことになるだろうと思います。

ただし、その女の子の運転に過失があるとすれば、過失相殺される可能性はあります。例えば、過去の同種裁判例でも、転倒した子どもが、ペダルに足が届きにくく、乗り慣れない自転車に乗っていたことが事故の一因になったとして、過失相殺を認めたものがあります。

ところで、犬は一般に、飼い主には従順ですが、それ以外の他人には必ずしも同様ではありません。このような事情から、犬が人に危害を加えた場合に、飼い主の責任を認めなかった裁判例は、非常に少ないとされています。従って、今後、散歩される際には十分注意してください。