くらしの法律相談

2007年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「再婚時、前夫からの養育費は?−諸般の事情考慮し決定へ」神戸新聞 2007年12月4日掲載

執筆者:西川 精一弁護士

Q:私は、夫と3年前に離婚し、5歳と10歳の子供と3人で暮らしています。離婚する際に、2人の子供の親権者には私がなること、毎月定額の養育費をもらうことを前夫と合意しました。今、再婚を考えている人がいるのですが、私が再婚した場合、前夫から養育費をもらえなくなるのでしょうか。

A:一般に、離婚する際に養育費の額について合意した場合でも、離婚当時に予測し得なかった「事情変更」が生じた場合、相手方に対し、養育費の増額や減額を請求することができます。例えば、父母の勤務先が倒産したり、父母や子が病気や怪我により長期入院することになったり、物価の急激な上昇が起こったりしたという場合です。

相談者の場合に、この事情変更が認められるかが問題となりますが、再婚したというだけで、当然に事情変更ありとして前夫の養育費支払義務がなくなったり、減ったりするわけではありません。

例えば、再婚相手が、相談者の子らと養子縁組をしない場合、再婚相手と相談者の子らとの間には親子関係は生じませんので、前夫が子らに対して一次的な扶養義務を負うことに変わりはなく、養育費支払義務も原則として変化しません。ただし、再婚相手が子らの養育を含め、生活全般について費用を負担するようになったという事情がある場合には、「事情変更」ありとして前夫の養育費減額請求が認められる可能性があります。

再婚相手が、相談者の子らと養子縁組をする場合、再婚相手と相談者の子らとの間に親子関係が生じ、通常は再婚相手と子らが同居して生活していくと思われますので、再婚相手が一次的な扶養義務を負うことになります。しかし、この場合も、前夫と相談者の子らとの親子関係が無くなるわけではありませんので、前夫の扶養義務も、二次的ではありますが、存続し続けることになります。したがって、前夫の養育費支払義務が当然になくなることはありませんが、扶養義務が二次的なものとなり、前夫の養育費減額請求が認められる可能性があります。

結局、再婚したという事実だけではなく、養子縁組の有無、扶養義務者の経済力の有無、再婚後の家庭の状態など、様々な事情を考慮して、改めて前夫の養育費負担額が定まると考えてください。この点について、相談者と前夫だけで話し合いがつかない場合には、調停や審判などで解決することになります。