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神戸空港建設の是非を問う住民投票条例に関する要望書

1998年(平成10年)11月13日

神戸市議会
議長 長谷川 忠義 殿
市議会議員 各位

神戸弁護士会 会長 小越 芳保

要望書

第一 要望の趣旨
 神戸空港建設の是非を問う住民投票条例を制定することを要望いたします。

第二 要望の理由
 この度、神戸市民307,797名(神戸市選挙管理委員会審査結果)の住民投票条例制定請求署名により、神戸市議会に条例制定の議案が提出され、同議会で審議されることになりました。

 ところで、当会もその一員である近畿弁護士会連合会は、本年3月19日に、神戸空港建設計画に関する意見書を神戸市長に提出しております。

 この意見書は神戸空港建設事業計画には、埋め立てが瀬戸内法に抵触するおそれが強いこと、大阪湾周辺の水質汚濁や大気汚染を更に悪化させるおそれがあること、財政収支の情報公開が不十分であること、事業の必要性、経済的合理性を裏付ける根拠が不十分であること、航空機、船舶の運航の安全性の検討が不十分であること、被災市民を含む市民の生活再建を支える施策に支障をもたらすおそれがあること、かつて市議会が全会一致で空港建設推進決議をしているとしても震災を経て立ち直りの困難な市民が多数いること、などを理由として、神戸空港建設計画は一旦凍結し市民に対する情報開示を徹底するとともに代替案の検討を含む実効性ある環境影響評価を実施し実質的な市民参加のもとで再検討すべきであるとしています。

 神戸市は意見書中の問題点の指摘や問題提起に応えることなく、空港島埋立事業に係る環境影響評価書の作成手続を進めるなど、ひたすら計画の遂行に邁進している状況です。

 意見書の理由中でも述べましたように、神戸空港建設計画に関する全市民的な議論を行い市民の合意を得る手段として、住民投票は積極的に考慮されるべきものです。

 条例制定・改廃請求権は、日本国憲法第92条「地方自治の本旨」由来する地方自治法第74条において地方公共団体の住民に認められている権利です。したがって、地方自治レベルにおいて代表民主制が建前であるとしても、代表民主制を補完するものとして、条例制定・改廃請求権は十分に尊重されなければならないものです。

 条例制定請求の署名をした人達の中にはもちろん空港建設に賛成の人もいます。そうした人達も含め多くの市民が市民自身で空港建設の是非を決めたいという願いを、市議会においてすでに決着済であるとか、議会制民主主義に反するといった形式的な理由でこれを拒む理由はありません。

 市議会がこれまでの行き掛かりにこだわらずに住民投票条例制定を願う多くの市民の真摯な願いに応え、神戸空港建設の是非を問う住民投票条例案を慎重に審議のうえ条例制定されることを、当会は強く要望いたします。